あらすじ
No.2ヒーロー・ホークスは『敵役連合』が一員・荼毘と通話していた。先日、『敵役連合』が脳無を放った際、ホークスが連れていたヒーローがエンデヴァーであったこと、それによって、脳無が倒されてしまったことについて、荼毘は何かと苦言を呈する。
しかし、ホークスは荼毘の意図を見抜いており、不平を述べつつも、次なる指示を出してくるであろうことを見抜いていた。
そして、荼毘は最後のチャンスと言って、ホークスの意図していた通り、次なる指示を出すのだった。
その指示を聞いたホークスはヒーロー公安委員会に手短に報告をし、次からは暗号でやり取りすること、通信をひかえることなどを伝える。
その足で、負傷しヒーロー活動を休止していたベストジーニストのもとを訪れるホークス。ヒーロー活動の再開を語るベストジーニストの背後で、ホークスは不穏にも翼の剣を構える。
その後、大きなカバンを持ったホークスは連絡がつかないことに苛立ちながら、跳び続けるのだった。
年末。実家に帰省していた緑谷は、母に学校であったことを嬉々として語る。母は危機一髪な状況を聞いては冷や冷やして涙する一方で、無個性で無力だった息子の立派な成長を喜んで涙するのだった。
年が明け、緑谷のインターンが始まる。インターン先は、爆轟、轟と同じくエンデヴァーの事務所。
事務所につく前に、出迎えのエンデヴァーと出会う3人。親バカっぽさを露呈するエンデヴァーと相変わらず柄の悪い爆轟の間でひと悶着起きそうな雰囲気が漂う。轟は冷静で、緑谷はテンパっていた。
緑谷の記憶の中のエンデヴァーは、体育祭の時に、轟の対戦相手である緑谷に威圧を賭けに来た「怖い人」だった。しかし、一頃に比べると、落ち着いたエンデヴァーを見て、緑谷は以前ほどの恐怖を感じなかった。
それは過日、オールマイトと緑谷と爆轟が面談をしていた時の事。
オールマイトは緑谷の訓練が順調だということでエンデヴァー事務所へのインターンを勧めていた。
そして、オールマイトは爆轟に対しても、エンデヴァー事務所へのインターンを勧めた。それは、前と変わりつつあるエンデヴァーを見て、爆轟も学べと言うことだった。
緑谷たちと合流したエンデヴァーは、緑谷を見て、かつて自分が体育祭で緑谷と見えたことを自ら話題に出す。
しかし、その瞬間、エンデヴァーは危機を察知し、走り出す。インターン生3人は、追いついて自らの目で学べというエンデヴァーの無茶ぶりにも即座に対応してエンデヴァーを追いかけ始める。
悪事を犯しているのは不吉な予言をばら撒く、ガラスを操る個性の持ち主だった。しかし、熱でガラスを溶かしてしまえるエンデヴァー相手に勝ち目もなく、初動対応が迅速だったエンデヴァーにあっという間に敵役<ヴィラン>は追いつめられてしまう。
しかし、逃げた先にはエンデヴァーへの待ち伏せが配置されていた。それをインターン生3人が攻撃しようとした瞬間、ホークスが現れ、待ち伏せ犯たちをあっという間に蹴散らしてしまう。
その後、エンデヴァーと言葉を交わすホークス。ホークスは「異能解放戦線」なる不穏な本をエンデヴァーに執拗に勧めてきた。ホークスは、マーカーをひいたところだけでも、と言って無理やりエンデヴァーに本を渡す。そして、ついでにインターン3人組にも本を渡す。
何かただならぬ雰囲気に気圧されて、エンデヴァーは本を受け取ってしまう。
ホークスは飛び去ったのち、自ら柄にもない事をしたことについてため息をつく。そして、敵側に常に監視されている危機的状況の中、致し方なかった方法となってしまったことに不安を抱きつつも、エンデヴァーに自分のメッセージが届いてくれと願うのだった。
そして、やっとインターン3人組はエンデヴァーの事務所に着く。いまやNo.1ヒーローとなったエンデヴァー事務所は連日超多忙な状況だった。そんな状況でも、仕事を奪ってやるぜと息巻く爆轟だったが、その一方で、自室にこもっているエンデヴァーの様子に何かを感じてもいた。
エンデヴァーは自室に引きこもり、ホークスのただならぬ真剣な雰囲気と今までの言動との不一致が気になり、本をめくっていた。そして、本に隠されたメッセージに気付く。
敵は「解放戦線」なる連中であること、その数なんと数十万であること、4か月後に決起すること。
とんでもない情報にエンデヴァーは声も出せぬようだった。
解放戦線とは何ぞや
今回、突如出現した「解放戦線」。今まで、死柄木を筆頭とした『敵役連合』が黒幕として動き回ってきました。一方で、『敵役連合』は『オール・フォー・ワン』が死柄木に与えた組織であり、『オール・フォー・ワン』の本体勢力は別に存在するかのような描写もありました。(ギガントマキアなど)
『オール・フォー・ワン』の最大の遺産が『解放戦線』ならば、それはそれでとんでもない遺産です。なにしろ、数だけ見ても数十万ということで、それだけの人数が決起すれば、ヒーローどころか全国を巻き込んだ全面戦争になること請け合いです。
ただ、逆に言うと、数十万もの人間が集っているからこそ、『オール・フォー・ワン』が絡んでいるとも想像できるのであり、彼のカリスマが無ければ、ここまでの人数は揃えられなかったともいえるでしょう。
ただ、ストーリー進行はゆっくり目ながら、伏線や謎をばら撒いて来た『ヒロアカ』にしては、『解放戦線』の登場は唐突な感じがしました。仮にオールマイトが『解放戦線』について何も知らなかったりしようものなら、彼の偉業は仮初の平和を作っただけの偽物ヒーローになってしまう感じがします。
『解放戦線』は完全な組織と言うよりは緩いネットワークで、ちょっと手軽に自分の立場を利用して提供された資金・情報・空間などを、一部の幹部や主要メンバーが利用している組織ではないかとも思っています。そうでなければ、数十万のメンバーを操るだけでもかなり大変だろうからです。
ただ、そうなるとオールマイトの平和の象徴としての輝きが褪せてしまうことにもつながりかねません。
やや突発的に表れた『解放戦線』。それは今までコンスタントに積み上げてきた『ヒロアカ』にしては、ポッと出の後付け設定感のする、そう言う意味で危険な組織に感じました。
ホークス大活躍
潜入捜査をしていることが描かれていることから、当然、出番が多くなるだろうとは思っていましたが、もはやここまで露骨にホークスが活躍するとは思っていませんでした。
『解放戦線』についての情報をもたらしたのもホークスであり、まるで、オールマイトの時代が終わったのを象徴するかのように、出番が増えたキャラクターと言ってもいいのではないのでしょうか。
オールマイト時代の終焉を象徴するのは、本来No.1ヒーローであるエンデヴァーであるはずなのですが、エンデヴァーはオールマイトがギリギリ現役だった時代から作品に登場していた一方で、ホークスはオールマイトが完全引退した後に登場した新キャラクターだったこともあり、どうしても「ポスト・オールマイト」の第一人者かのようなキャラクターのイメージがあります。
穿った見方にはなるかもしれませんが、テーマカラーも黄色っぽいし、前髪もオールマイトのトゥルーフォームの時の形と似ているし、なんとなく全体にオールマイトを大人しくしたように見えなくもありません。ただ、ホークス本人はオールマイトよりも、その圧倒的カリスマの前でなおもライバル心を抱き続けたエンデヴァーの方に入れ込んでいるので、オールマイトの真似しているというのはあり得ませんが。
結局のところ、ホークスも『解放戦線』と同じくポッと出感のあるヒーローなので、ひょっとして、ホークスと解放戦線はてこ入れで入れることを強要されたんじゃないのかな?と邪推してしまうのでした。
終わりに
今まで丹念にエピソードを積んできただけに、『解放戦線』の設定はやや突然気味に登場した感じがしました。
とはいえ、『解放戦線』は名前が出てきただけの状態なので、今後、何らかの伏線回収があると期待をしています。