今回はアニメ ワールドトリガー 2nd Season 5話『新技』レビューしていきたいと思います。
あらすじ
5話では、玉狛第二(主人公チーム)、柿崎隊、香取隊のランク戦序盤(?)が描かれました。
中でも、香取隊の描写が多かったです。上位に上がりきれない香取隊は、力を出し切れない原因が人間関係にもあるようでした。
自分なりに努力したものの成功の実感が得られない事から来る諦めを感じている香取。香取の才能を認めつつも、努力を仕切っていないことを咎める若村。その間に挟まれつつも、自分では仲裁をしきれない三浦。
この三人は2期冒頭でも戦闘を行っており、その時点から、口げんかするシーンがあるほど、優遇されています。
一方の玉狛第二は、新技を早速試してみて、うまくいったと言ったところで、比較的優勢に描かれました。
ランク戦のテンポの悪さはお家芸か
今回が2期が始まってから初めてのランク戦でした。2期になり作画(正確には塗り)も改善され、演出面でも1期より質の増した感じはしていました。
Amazonレビューのキーワードでも「作画」「テンポ」といった言葉が良く出ているようだったので、みなさん、この点を機にされたんだと思います。
しかし、ランク戦のテンポの悪さは相変わらずでした。戦闘場面と実況場面が交互に入って話の展開が遅くなってしまっていました。
いかんせん、「戦闘+詳細な解説」となるのでどうしてもテンポが悪くなってしまいます。
実戦かつ、集団戦のガロプラ戦(2期1話~4話)はオペレーターの数も少なく外野が居れる茶々も少ないため、テンポが良く感じられました。
むしろ、オペレーターたちのシーンが入ることで、状況が整理され、戦況を理解するのに非常に良い助けになりました。
しかし、3人1組のチームが3チーム戦うという
正直、5分もあれば話のつじつまが合うくらいには要約できてしまいそうです。
副音声に実況を入れて、臨場感を持たせる演出にするというのもありかも知れません。ただ、ワールドトリガーは原作モノなので、いかに原作にあった絵をアニメにできるか、が要求されている側面も否めません。
チームの精神面描写は深まった
柿崎隊は、離脱者無しの堅実プレー、といわれるだけあって、随所で下される判断が堅実そのものです。最初に決めた「集合し、火力を集中させる」の基本方針に従い、チャンスに見える状況でも、まずは集合を優先、状況が危なくなったら退く、など基本に忠実な動きを見せました。
ただ、ワールドトリガーは戦術・戦略アニメですし、主人公・三雲は策士タイプです。なので、ロボット(トリオン兵)相手の任務では離脱者無しでも、堅実な策がゆえに読まれやすく、そこを突破される描写が、今後あるのかな、と思いました。
今まではランク戦ちゅう、隊員同士の会話は少なめでした。基本は指示がメインで、それに応答するという会話が多く、あまり、指示に対して疑問を呈したり、状況を知らせて支持を要求すると言ったシーンはあまりありませんでした。
そういった「作戦行動中の会話」が増えたことで、隊の特色が武器や職業だけの違いではないと感じることができました。もちろん、1期の頃から、各隊特色があるものの、隊員同士の会話を挟むことによって、各隊の「戦略のスタイル」がより明確に打ち出されているように感じました。
この会話によるリアリティは、私としてはいいと思う反面、実況と相まって、テンポの悪さを加速(テンポを減速)させているようにも感じた人もいるのではないかと思います。
特に、香取隊のやり取りについては、冗長に感じた人も多いのではなかったかと思います。とりあえずドンパチやってくれていた方が、引きつけられますし、あんまりダラダラとバックストーリーをやられると、感情移入を強要されているように感じる人もいたかもしれません。
今後、この戦いを通して、香取は何らかの形で吹っ切れて、上を目指す気持ちを取り戻すのではないかな、と思わせる展開でした。
一方、柿崎隊は特にこれと言った変化は無く、堅実に負けるんだろうな、と思いました。
新技は割と対策されちゃった
三雲が新技として習得したのはスパイダー。ワイヤーを張り巡らせる物でした。もともと機動力の高い空閑とは相性が良く、ことを優位に運んでいる様子でした。
ただ、あんなにバンバン張り巡らせてやっと使い物になるというのでは話にならず、もっと効率的にワイヤーを張るべきなのだろうとは思いました。そう言う意味では、さんざん咬ませ扱いされている木虎が比較的効率よくワイヤーを使いこなしているところで、三雲との格の違いを見せているのかな、とは思いました。
しかし、あれだけバンバン張って三雲のトリオンは大丈夫なのかと心配になります。今回は入り組んだ上、狭い地形だから良い物の、前回・前々回のランク戦のような状況では使い物にならなかったのではないかと思われます。
雨取のレッドバレット(重り)も発射はされましたが、結局1発だけに終わっていました。しかも、当てたのが腕だったので、腕をあっさり切り落とされてすぐに対策されてしまいました。それでも、数本で起き上がれなくなるほどの重りをつけられて、腕を平然と挙げられていたのは違和感がありました。
さらに、(遠距離がほかの隊に居ない)あの状況ならもっと撃てたんじゃないか、とも思ってしまいました。
雨取を「頑張らせ過ぎない」という方針は知ってはいます。ただ、彼女の意思は玉狛第二の大きな行動原理ですし、境遇ゆえに様々な存在から狙われたり、注目される存在です。そんな彼女が「人を撃てない」うえ、甘やかされているこの状況には、個人的には違和感を感じるというか、もっと彼女が引っ張っていくべきなのではないかな、と思いました。
どうしても、雨取にはまだ「おまけヒロイン」のイメージが残っています。
おわりに
高まる期待に応えるように、塗り・戦闘描写においては1期を越えてきたものがありました。ただ、やっぱりランク戦はランク戦。テンポの悪さはよもやお家芸と割り切るしかないのかな、と思います。
ただ、そもそも原作からしてそう言う設定というハンデを負いつつも、良い物を作ろうとしてくださっているアニメスタッフの方々には、厚くお礼申し上げる次第です。
第6話。まだ決着はつきそうにはありませんが、期待はしております。