ドムストの雑記帳

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最高に思いが詰まってる【ラノベ とある魔術の禁書目録1巻】感想

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今更過ぎるのですが、とあるシリーズ第一巻を読んでみました。

 

最近は本を全然読んでいません(読んでも技術書orメンタルばっかり)。そもそも、私はラノベをあまり読んだことのない方です。
読んだのは甲殻のレギオスとレオ・アッティール伝くらい

 

そんな久しぶりっぷりに、最初は回りくどい地の文に惑わされ、読むのに手こずりました。それでも一通り読み通してみると、その面白さを実感しました。

 

なお、私は一応、『とある科学の超電磁砲S』を視聴しているので、そこで知った情報をこの一冊の感想に含めてしまうかもしれません。それについてはご容赦いただきたい。

  

 


登場人物が手堅くまとまっている

 

 そもそも、『禁書目録』を読もうと思ったきっかけは、人気だったからです。

あれだけアニメ化されたりするの人気シリーズの一巻目だから何が面白いのかを研究しようと思って読み始めました。

 

 その中で最も驚いたことは、登場人物の数が決して多くはなかったということです。

  • 主人公の上条
  • ヒロイン・インデックス
  • インデックスの追手が二人
  • 上条の担任教師
  • 上条の同級生数人
  • 上条を逆恨みする御坂
  • 医者

メインのシナリオに関わってくるのはその中でも前半の5人程度です。結構、簡潔です。

一貫して上条視点で描かれてていることも原因の一つなのでしょう。それでもかなり人数は少ないと思っています。

 

最初は特に御坂とのケンカがダラダラと続き、少し話に締りがなく感じる箇所はありました。しかし、後半から一気に5人(話の核は担任を抜いた4人)で話がまとまってきます。

 

 

当初は、追手たちも、明確な敵、として描かれます。次第にその背景が明らかになるにつれて、彼らにも彼らなりに真摯な理由があるということが、1巻の中で明らかになります。

 

こういったことは、あからさまに書くのではなく、行間を読むことで見つけられる方が、文学としては交渉なのかもしれません。とはいえ、ライトノベルは、行間を読んでいくことよりもストーリーのテンポを重視するのかもしれませんので、そこについての議論はここではしません。

 

冒頭での追手たちは印象がかなり悪くなるように描かれています。

一人の少女を追い回し、血まみれになるほどの斬撃を加えたり、主人公へ情け容赦ない制裁を加えたりと、苛烈な事件が発生していきます。

私も、一読者としては、「こいつら何考えてんだ」と驚きと怒りの入り混じったような印象を抱きました。

 

ですが、しばらく読み進めていくと、それが裏返り、彼らへの印象がガラッと変わります。

誰よりも大切な少女の為、あえて汚れ役を背負う。あまっちろい口先だけの男に対していだく、真摯だからこそ湧き上がる怒り。

それらが見えてくると、ガラッと印象が反転し残酷な追手の二人はとても友情深い人物であることが分かります。 

 

その「ガラっ」の部分も上手なのかもしれないと感じました。

 

その追手たちの背後にいる人物の事情などはうっすらと情報を提示されます。しかし、それも世界観の説明から少し踏み込んだ程度に抑えてあります。

そのため、正体不明の有象無象達がうごめいているかのような印象でした。

アニメで言うとシルエットで目だけ光ってるような奴らの感じですね。

 

人数が少ないからと言って、決して世界観が浅くなく、主にインデックスを取り巻く人間たちの奥に、大きな勢力が、意思が、動いていることをちゃんと感じさせてくれるものになっている。

 

確かに後のシリーズでは多勢力が入り乱れての大闘争となりますが、そのすべてが1巻で登場しているわけではありません。当然、後付けの組織もたくさんあるでしょう。

 

しかし、壮大なストーリーが頭の中にあればこそ、一巻目では話を大きく広げ過ぎないというのは難しいけれども、大事なことだと思っております。

 

話を壮大にしようと思うと、初っ端から話を手広くして、登場人物も一気に出したくなるのが作者としての欲望でしょう。
しかし、1巻目と言うのは世界観と登場人物という2つの設定がまだ読者の頭の中で落ち着いていません。様々なものを出し過ぎると混乱を招くことになりかねません。


そう言う意味では、手広くやりたい欲に勝ち、それでいて、きちんと話の大きさを感じさせてくれるシナリオには感服しました。

 

黒幕たちの細かい説明自体はありません。ですが、かすかな描写の奥に潜む黒幕たちのシルエットは、これから始まる壮大な物語への期待感を高めてくれるものでした。

 

 

後に発生する、パワーインフレ、難解すぎる設定などは、第一巻の時点では登場していません。だからこそ、この1巻目の簡潔さは素晴らしい物だと思っています。


割と綺麗に締めくくれているのでは

ラストで上条に起きた衝撃的な事実は、この先の話に対する不安と期待をかきたてます。

いつか、その事実と向き合わなければならない。だけど、大切な人を傷つけないために、彼は嘘を貫くことを決めます。もし、この先の話で、大した事件が起こらなかったとしても、その事実だけは、暗い影を残すことになります。

 

この嘘は長く上条を縛り付けます。一方で、どんな敵にも恐れなく立ち向かっていく無敵の主人公であるかのような上条当麻にとっても、どうしても認められない弱い部分があることが描写されます。

 

 

慣れないと地の文が読みにくい

 

ただ、冒頭で指摘した通り、全体的に読みづらい文体だと感じました。

どちらかと言うと、漫画やゲームから、ライトノベルを書くことに入っていったのではないか、と思いました。(事実はどうかは分かりません

 

細かい描写があるというわけでもないので、アニメのビジュアルを前もって知ってしまっているのとでは、読んだ時の受け取り方に違いがあるでしょう。

 

会話も割と身の無い(あるいは進展のない)言葉をダラダラと交わすシーンもあるので、そういったシーンが苦手という場合には、あまりお勧めできないでしょう。

 

『とある』シリーズが苦手な人の中には、そういった雰囲気がいつまでも続いていくことに嫌気がさしてしまうという人もいらっしゃるようです。

 

 たしかに、シンプルさに欠け、それが場合によってはテンポに悪影響を与えかねない部分もあります。

 

ただ、それも慣れてくれば、上質なシナリオの物語として、十分に楽しむことができます。