ドムストの雑記帳

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ジークの尻の毛の数【アニメ進撃の巨人 第74話 唯一の救い】

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アニメ『進撃の巨人 第74話 唯一の救い』のレビューです。

※ただし、タイトル詐欺です。実際には毛の数は公開されていません。(理由については後述

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とうとうすべてが明らかになったジーク・イェーガー。その半生とは、原動力とは、計画とは。

 

あらすじ

ジークは幼い日に、両親と共に収容区の外に連れ出され、そこで「悪魔が子を増やしやがって」と罵倒される。

 

成長したジークは両親の思惑で戦士候補生として訓練を受けるも、落ちこぼれて居た。

祖父母からは「マーレの正しい歴史」を教えられ、両親からは「エルディアの正しい歴史」を教えられ、両方に良い顔をする利発さも見せていた。

 

しかし、ジークは両親からの愛を感じられず、戦士としてのやる気も見せられない孤独な日々を送っていた。

ある日、トム・クサヴァーという大人の男性にボールを投げ返したことを褒めてもらい、ジークは初めて人からの愛を実感する。

 

 

しかし、両親はと言うと、ジークが落ちこぼれることで、計画がご破算になることばかり気にしていた。ジークは必死で公開訓練に参加した物の、その落ちこぼれっぷりをみて、絶望した父親が立ち去っていく様を目の当たりにしてしまう。そして、家で計画失敗に絶望し、荒れ果てる父の姿に、ジークは恐怖でうずくまるしかなかった。

 

後日、クサヴァーとジークはキャッチボールをし、その中で、クサヴァーから「訓練にやる気はないんだろう?」と問われる。そして、ジークが戦争やマーレのこともどうでもいいと思っているとも指摘する。戸惑うジークに対して、クサヴァーは、お互い様だと笑う。

 

クサヴァーは獣の巨人の継承者でありながら、戦争では役に立たない巨人の能力のせいで、巨人研究にいそしんでいる人物だった。

巨人の力の神秘の前に、戦争も憎しみもくだらないと明るく語るクサヴァーを見て、ジークは、両親の洗脳から解き放たれ、少しだけ自分を肯定できるようになっていく。

 

しかし、ジークは偶然、「エルディア復権派」が検挙されるというところを耳にしてしまう。そして、呪いから解き放たれた自分の言葉で、危ない事を止めてくれ、と語る。それが、両親の逆鱗に触れてしまう。

 

両親から完全に失望されたジークはクサヴァーに相談を持ち掛ける。クサヴァーにとっても、ジークの両親が『エルディア復権派』であることは誤算だった。だが、両親を密告すれば、祖父母は助かり、落ちこぼれのジークでもマーレへの忠誠心から巨人の継承権を得ることができるようになると、クサヴァーはアドバイスする。

 

結果、ジークは両親を密告し、両親は楽園送り、パラディ島で巨人になる刑を処されるのであった。

 

数年後、成長したジークは、クサヴァー相手に軽口を叩ける程度に立派になっていた。

そこで、ジークはクサヴァーの研究成果を聞かされる。クサヴァー曰く、始祖の巨人にはユミルの民の記憶を改ざんするだけでなく、肉体までもを改造する力があるとのことだった。

その話を聞いたジークは、かつて幼い日に言われた言葉を思い出し、エルディア人が子供を作れない体にすることもできるのではないかと尋ねる。

 

その話を聞いたクサヴァーは、自身の過去を回顧する。それは、身分を偽ってマーレ人の女性と結婚したが、エルディア人であることが知れてしまい、妻が息子と共に心中してしまったというものだった。

だからこそ、クサヴァーは逃げるように巨人の研究に没頭したのだった。

 

そして、ジークは始祖の力を用いて、エルディア人が子を残せぬ体へと改造し、この先、世界は巨人におびえることは無くなり、差別されるエルディア人もまた滅び、世界に平和が訪れるのだと。それこそが唯一の救いなのだと。

 

その後、巨人の力継承直前に、クサヴァーは、始祖の力をジークの意見に賛同する者に移し、ジークを鍵として、「不戦の契り」の抜け穴をついて始祖の巨人の力を発動するという作戦「安楽死計画」について語る。そして、ジークは晴れて獣の巨人の力とクサヴァーの眼鏡を継承したのだった。

 

その後、ライナーとベルトルトからパラディ島での潜入を終え、情報を聞く中で、エレンの存在を知り、エレンと遭遇することで、疑いは確信となった。ジークの父はパラディ島で子を作り、その息子にも自分と同じ洗脳をかけたのだと。

 

その後、エレンとジークはついにマーレ国内で密会を果たす。ジークは『エルディア人安楽死計画』に賛同するか問う。エレンは、父親が始祖の巨人を奪う過程で、王家の人間を踏み殺したことを回顧し、生まれてきた苦しみを説く。そして、「生まれないという幸福」のため、ジークの安楽死計画に協力すると申し出る。

 

そして、エレンはジークから、クサヴァーから託された野球ボールを、託されるのだった。

 

最後に、ジークは雨の中リヴァイに運ばれていることに気付く。そして、「生まれてこない幸福」を説きながら、クサヴァーの名を叫び、雷槍のピンを引き抜き、自爆するのだった。

 

 

トム・クサヴァーという男

 

クサヴァーは、間違いなくジークの一生で多大な影響を与えた人物でしょう。

 

ただ、私の中で彼への評価は結構辛辣なものです。クサヴァーは善人ではありますが、小物だと感じました。

 

戦争や憎しみなどどうでもいい、ときれいごとを言っていますが、その実は、「世界のことなんて全てどうでもいい」だったのではないかと思います。

それは、妻と子供を心中させた段階で、ほぼすべてのことに対して無気力になってしまったのだからだと思いました。

 

確かに、戦争や憎しみなんてどうでもいいものでしょう。ですが、他のことだってどうでもいいのに、あえてそれだけを取り出して発言するところに、戦士としての特権と自身の反骨精神をジーク相手に誇示したかった器の小ささが表れていると思いました。

 

「戦争なんてどうでもいい」というと聞こえはいいですが、本人は決して反戦主義でもなんでもなく、ただ、自分が戦場と無関係な安全な場所に居られるからどうでもいいだけなのでしょう。

 

さらに、結局は、巨人の力に魅入られた一人でもあり、戦争に直接的に関与しておらずとも、結果的にはその研究成果は戦争に使われたでしょう。

ある意味、巨人の力に関与しない人間はこの物語のモブにもなれませんが、彼も、巨人の力があったからこそ特筆されただけの 人間なのではないかと感じました。

 

おそらく、巨人の力があったとしても、戦場に駆り出されれば、心的外傷を負って、「使い物にならなくなった兵士」になっていたのではないかと思ってしまいました。

 

巨人研究による間接的な戦争協力と言うあたりの話は、なんとなく、ロケット開発を思い起こさせるものがありました。

それは、戦争を拒絶して開発を諦めた技術者と、戦争を糧にして進歩をさせた技術者が同居した以下のような物語を私が知っていたからです。

 

 

 

「父さん」と言った真意

 

『エルディア人安楽死計画』についてのクサヴァーの語りを背景に、ジークの巨人軽傷シーンは描かれました。その時、彼が発したのは「見つけてみせるよ。父さん」と言う言葉でした。

 

話の流れからすると、クサヴァーの名前を出す方が自然です。しかし、なぜかここでジークは自らの父親に対して決意をします。

 

ラストの自爆シーンでは、逆にクサヴァーの名を叫びます。このときは、エレンの「生まれてこない幸福」を語りながら自爆します。

 

理由として考えられるのは、父親から強要されていた「世界を救う」を形は違えども実行することを、既に死したであろう父に報告するような気持だったのかもしれません。

 

 

エレンの原動力

エレンは、『エルディア人安楽死計画』に賛同した理由について言及する際に、自分の父親が始祖を奪うために、幼い子供までもを踏みにじったことを挙げました。そして、自分の父親が誤っているから、その父親に作られた過去の「エレン・イェーガー」という人間も否定すべきものであるとして、新しい「エレン・イェーガー」として、ジークに協力するという風に申し出ていました。

 

確かに、幼い命が何のために生まれてきたのかを突き詰めて考えれば、ただ踏みつぶされるためだけに生まれてきたと考えるようになり、生きる希望を見いだせなくなることもうなずけます。

 

そして、父親の記憶を見ても(何やかんやあって)パラディ島の巨人の掃討に成功はします。しかし、念願の海にたどり着いても、海の向こうには敵がいると言って、素直に喜ぶことができず、明らかに周りからも浮いていました。

 

その段階から、既に、ミカサやアルミンたちとみて居る者が違っていたことは明らかです。しかし、今回74話で引き合いに出した話と、前回73話で引き合いに出した言葉には、齟齬が見られるように思われます。

 

前話の段階では戦う理由は「自由」であり、そこには「自由を得る事こそ生きることの価値」「自由でなければ生きる価値なし」というような、どちらかというと、生きることを前提とした話をしていました。

 

そのため、今回ジークと共有した「生まれない幸福」とは齟齬があるように見えました。これは、ますます、ジークとの決裂を暗示しているようにも見えます。

 

さらに言えば、エレンが引き合いに出した「父親の殺戮の記憶」を見た後も、エレンは、仲間を思いやるような言動をとったりしています。そのため、殺戮の記憶だけを引き合いに、ジークの計画に賛同したり、「生まれてこない幸福」を語るのには違和感がありました。

 

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「生まれてこない幸福」がエレンの真意だとするとサシャの死で笑ったのは、「生まれてこなければ皆悲しむことはなかった」を体現していたからこそ、笑ったともとれます。ですが、やはりそこの真意は明らかにはされていませんし、そこが明確にリンクするとも考えづらいので、そこのシーンについてはまた別の理由があるのでしょう。

 

もしこのまま、エレンが自由を突き詰めていくとするならば実力至上主義の世界でも作ろうというのでしょうか。(例えば女神転生で言うカオスルートや、メタルギアライジングの上院議員の目指すような世界

いずれにしても、ジークの真意は明かされた者の、エレンの真意が明かされたとは言いづらく、エレンの真意が明かされるのはまだ先になりそうです。

 

終わりに

ジークの幼い日の思い出から、その成長、計画、すべてが明らかになった『進撃の巨人 第74話 唯一の救い』。

毎回、話の密度が濃いのですが、今回は回想シーン中心でありながら、相当に濃密な情報になっており、本当にあっという間に1話を視聴し終えてしまいました。

 

この記事も、大ボリュームになってしまいました。毎回書く事が多いのはうれしいのですが、情報密度が濃く、毎回大変です。

この辺りは『進撃の巨人』が、(テンポと勢いのよい)『呪術廻戦』とは、また違った雰囲気の魅力を持っているのだと感じました。

 

なお、タイトルについてですが、これは、マガトに尻の毛の数まで報告しろと言われていたことにちなんだジョークです。マガトにすら伝えていなかったジークの一生のほぼすべての情報が公開されました。なので、ジークの尻の毛の数まであと一歩手前までの情報全てが公開されたと言っていいでしょう。

 

 

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