ドムストの雑記帳

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幼い二人【アニメ進撃の巨人 第70話 偽り者】

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アニメ進撃の巨人 第70話 偽り者の雑感です。

あっという間の25分でした。視聴終了したときには、その時間の過ぎ去り方の早さにびっくりしました。

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細切れに明らかになっていく真実。ガビとファルコの逃走。今回も見ごたえのある一回でした。

 

 

あらすじ

 

脱獄するファルコとガビ。そして、ふとした偶然から、孤児たちを養っているブラウス家に、兄妹を偽って居候することになる。

しかし、ガビは何かというとマーレ人であることに固執し、隙あらばパラディ島の人間「悪魔たち」を殺そうとする。ファルコはそのたびに、それを諫めるので精いっぱいだった。

 

ヒイズルはパラディ島の地下資源を活用した新型飛行兵器を実験用にと島に持ち込む。

 

そして、壁の巨人を解き放つ『地鳴らし』の実験のために、一部地区の人間の強制移住の話が出る。それは、かつてハンジに協力した『リーブス商会』の人々が住まう地区。ハンジはその追及から目を逸らしてしまい、かつては協力し合った住人たちと次第に溝が深まっていく。

その情報を流したフロッグや新兵たちは、エレンやに心酔し、「新制エルディア帝国」を名乗り始めている。もはや止めようがない彼らをひとまず懲罰房にぶち込む。

その時、ハンジはかつて体制に組し、真実を握りつぶして暗躍した中央憲兵に言われた言葉「誰かに順番が回ってくる」を思い出す。

 

そして、マーレ義勇兵とフロッグ達がエレンの独断に関与していると判断したパラディ島上層部は、尋問を開始する。

 

一方、ガビとファルコは一人の少女にマーレ人とバレていた。

パラディ島の人間を他国を蹂躙し、永遠に罪を背負うべき悪魔と罵るガビに対して、少女は、かつて苦しんで自分の母親とそれが何の関係があるのかと尋ねる。

声を荒げ、蹂躙と暴虐の歴史、パラディ島の住民の罪を語るガビだったが、少女の問「どうして母親は苦しんで死ななければならなかった」に明確な答えを出せずにいた。

 

そして、ガビもファルコも、その少女を救った人物が、自分たちが撃ち殺したサシャであることを知らなかった。

 

そして、マーレ側では、爆散したジークの死体が不完全であること、立体起動装置にマーレの軍事技術が盛り込まれていること、飛行船の航行などからジークがひそかに裏切っていたことを確信。各国首脳が居る中で暴れまわったパラディへの報復のための連合軍を半年後に結集することとしていた。

しかし、ライナーは「そんなことは読まれている。今すぐに奇襲すべきだ」と進言する。

寄る辺を失い固執するしかないガビ

 

今回のガビの言動にはイラついた人も多いのではないかな、と思いました。

 

彼女は自身が他民族から悪魔と言われるエルディア人でありながら、戦士候補生(名誉マーレ人候補)であることから自身を『マーレ人』と言い、パラディ島に住む人々を『悪魔』『エルディア人』と言って、殺める事すらはばかりません。

 

いつもエルディア人としていじめられているから、自分は頑張って名誉マーレ人になれる人間だから、パラディ島の人間は悪魔だから、殺してもいいんだ。そして、パラディ島の人々、エルディア人は他民族を蹂躙し、その罪を負っていると言い、だからこそ、殺されてもいいんだと言う。

 

そもそも、自分が戦士になれば、巨人となって敵国を蹂躙する役を負います。そうなれば、エルディア人だとかマーレ人だとか関係なく、そもそも、自分が他国を蹂躙する罪を犯す側に立ちます。

 

何もかもを棚上げして、他人を貶め、殺め、自分もエルディア人で背負うべき罪を犯すことになる役目を嬉々として引き受けマーレ人の称号にすがる。

 

言動の何もかもが矛盾しています。その上、ムードメーカー・サシャを殺したということで、ガビが嫌われる理由もよくわかります。

 

ただ、私自身はガビだけを責めるのはかわいそうだと思っています。彼女は彼女の常識で動いています。その常識は、マーレの国策によって植え付けられたものです。

 

さらに、自ら望んで敵地にに乗り込んだとはいえ、極限状態に陥り、現実を受け入れられなくなっています。その結果、自分の常識に固執し、自分の都合のいいように物事を認識し、現実を受け入れられなくなってしまっていると思います。

 

パニックに陥った時、人間は正常な思考なんてできません。自分の都合のいいように現実を曲解するのも当然の様に行います。戦士候補生とはいえ、まだ幼いガビにはそこまで正常な思考を求め続けるのも無理があると私は思っています。

 

それで人を殺すほど殴り付けられたりするのは良心のタガが外れていると言われても仕方がないとは思います。ただ、私もパニックに陥って、判断を誤ることは身に覚えがあります。

だからこそ、ガビの今の境遇を責めるのは、どうしてもかわいそうだと思ってしまいます。

 

 

ファルコとて善なる道を歩めていない

 

一方で、ファルコについては、一瞬、ジャンと同じものを見ているのかとも思いましたが、違いました。

 

ジャンが望んでいるのは「戦いの終わり」です。

 

ジャンはマーレ襲撃の際に「戦いの終わり」について言及しています。戦いに疲弊しているようにも見えました。それは、そもそもが弱い自分を、死んだ友人に笑われないため、周囲の人間に死んでほしくないため、という理由で戦ってきたからだと思います。

 

「決して強い人ではない」ジャンには「崇高な理念」「高潔な愛国心」「正義に殉じる心」はありません。むしろ、そういったものを抱いているのは、今回、エレン解放を目論んで情報を横流しし、牢にぶち込まれた新兵たちの方でしょう。

 

 

ジャンは多くの犠牲を目の当たりにし過ぎて、敵の犠牲も、味方の犠牲も当事者として痛みを感じてしまっています。それは「平和」という言葉では夢や理想に近すぎて、むしろ、もっと現実的な「戦争への嫌気」「人が死ぬことへの嫌気」だと感じています。

だからこそ、ファルコやガビを飛行船から突き落とす案には反対し、彼らをとりあえず生かして連れていくことにしたのでしょう。

 

一方、ファルコは別に平和を望んでいるわけではありません。ただ、心根が優しいから、何かというと殲滅に走ろうとするガビをいさめる役回りになっているだけです。寄る辺を失い「マーレ」に固執するしかないガビに比べれば冷静なだけです。

 

ただ、死線をいくつも潜り抜け、仲間を失い、時に、同期に裏切られながら戦い続けてきたジャンと、実際の戦場に出ているとはいえ、まだ幼いファルコに同じ視点を求めるのは無茶が過ぎるだろうとも感じました。

 

ファルコとジャンの視線の高さに気付いたのは馬小屋で今後の見通しについて、ファルコが述べた時でした。

ファルコが言ったのは「救助を待つ」でした。同化するふりを装っても、結局はマーレ、エルディアに帰りたいと思っている。だが、そのために自分ができることが無いことが分かっているから、「流れに身を任せる」しかできないのだと思いました。

 

その道は、彼の性根の優しさから、多くを殺める道にこそならずとも、決して自らで切り拓いていく道ではありません。まして、切迫しているからこそ、矛盾を抱えつつもそのことを認められず刷り込まれた常識にすがるガビを救うこともできません。

 

結局は周り(兄貴)が何とかしてくれると思っている次男坊気質なのかな、と思いました。

 

そう言う意味では、ガビの抱える矛盾と常識への固執から来る狂気ともいえる行動を諫めてはいるものの、彼女の矛盾と固執を根本から指摘して、彼女を解放してやれないファルコの方が、ガビよりも責められるべきなのかもしれない、とも取れるかもしれません。(誰かに責任があって、それを責めれば何かが解決するなんて、この進撃の巨人のFinal Seasonを見ていて、思うことはあり得ないですけどね。

 

それでも、やや冷静に状況を受け止めていて、ガビを救いたいと願うのであれば、ファルコはガビが現実を受け入れる手助けをしてやるのが一番なのではないかな、と思いました。

 

今こそライナーの「ガビを救い出せるのはお前だけだ」という言葉が重みを増している時だと思います(頑張れファルコ!

 

 

終わりに

 

今回はエレン暴走の謎や、ハンジの孤立など、見ごたえのあるシーンがたくさんありましたが、そこを抜きにして、ファルコとガビについて語らせていただきました。

 

戦士として訓練を受けたとはいえ、大人ではないガビとファルコ。戦場で向かってくる「敵」に何も考えず攻撃を加えていればよかった戦争と違う、価値観を揺さぶられるという状況はまだ二人が幼いという事を示すかのようでした。

 

ガビを擁護し、ファルコを責めるのは、おそらく多くの人とは異なる見解かもしれません。ただ、私は私として感じたことをそのままに綴ってみました。

 

そして、この「偽り者」の示す者はなんだったのでしょうか。多くの人々が真実から目を背け、時に嘘をついていました。ある意味では、ハンジも、ファルコも、ガビも、偽り者だったのかもしれません。

 

ここまで読んで下さり、本日もありがとうございます