『東京リベンジャーズ 第2話 Resist』の感想です。
タイムリープを使って日向を救うというミッションを得た武道だったが、タイムリープ先での出来事であっさりと絶望しそこから逃げ出そうとする。しかし、その先での出会いが、彼に勇気を与えてくれた。
絶望から這い上がろうとする武道が描かれたなかなかの一回になりました。
あらすじ
花垣武道は駅のホームから突き落とされ、12年前の2005年にタイムリープした。タイムリープ先で、2017年に死亡した自らの彼女・橘日向と再会し、その後、弟の橘直人とも出会い、武道は現代に帰還する。
その後、武道こそ日向を救う唯一の希望と信じる直人によって、日向が巻き込まれた事件の首謀である東京卍會についての捜査資料を2日連続で徹底的に叩き込まれていた。
さらに直人から、直人と武道が接触することがタイムリープのトリガーであること、タイムリープ先で東京卍會の筆頭である佐野と希崎と言う人物に接触することで何かが変えられるかもしれないと語られる。
そして、12年前へと戻るために、直人と握手を交わす花道は、直人の想定通り12年前の今日に戻るのだった。
戻った瞬間、武道は喧嘩をさせられていた。タイムリープした直後な上、体の動かし方もほとんど忘れていた武道は一発K.O.で敗北を喫し、シケた試合をしたということで、先輩たちに再びタコ殴りにされる。
それでもここへ来た目的を達そうと武道は佐野と希崎の名前を出す。しかし、それが長であるキヨマサの逆鱗に触れ、二度とその名を出すなとバットでさらに叩きのめされてしまう。
ほうほうの体で逃げ出した武道はもはやどうにもならない現状から逃げ出すべく、帰還を望み、直人へと接触を図ろうとする。しかし、橘家は皆、不在だった。
そこへ、日向が現れ、盛大にボコボコにされていた武道を気遣う。日向は空手の覚えもある自分が男だったのなら武道を守ってやれるのにと言い、武道もそれに応じるように日向を守ってやると言う。
結局、武道は直人には合えず帰路につくのだが、最後まで見送ってくれていた日向について思いを巡らせていた。しょせん、彼女と言っても中学だけの付き合いだった。それでも、彼女を救いたいと武道は本気で思うのだった。
翌日、いつもの友人たちとの話で、仲間の中でも体の弱いタクヤが喧嘩賭博に駆り出されるということを知る。武道の仲間たちは、友人を救いたいという気持ちはあるものの、権力・実力ともに圧倒的なキヨマサの前ではなすすべもなかった。
結局、タクヤ自身が喧嘩に出るという決意を決め、その場は解散ということになった。
しかし、武道はこのクソっ垂れな中学生活の中で忘れてしまっていた、仲間たちが仲間想いで大切な存在だったことを思い出す。
そして、喧嘩賭博の会場。大勢の不良がいる中で、タクヤはついにタイマンで喧嘩を始めさせられようとしていた。
しかし、武道は大声で喧嘩を制止し、キヨマサのもとへと歩み寄る。一瞬、キヨマサの迫力に気圧されるものの、武道はここで衝撃の発言をする。
武道とキヨマサでタイマン張れという衝撃の発言を。
絶望と勇気
ただ直人に言われたからタイムリープをした武道でしたが、それゆえに、先輩たちから殴られている中でだんだんと希望を失い、さらにキヨマサからバットでしこたまなぐられたことで、精神的に完全に敗北してしまいます。
そのまま、逃げ出そうとする武道でしたが、日向の優しさや仲間が大切だったことを思い出し、ついにはキヨマサに喧嘩を売るを決意しました。
最初は文字通り転げ落ちるような展開で、みじめな武道でしたが、段々と自分の中で他人の優しさを積み上げていくことで、勇気を身に着けようとしながら自分を奮い立たせ、最後には、現状最強の相手ともいえるキヨマサくんに喧嘩をふっかけました。
この展開はなかなかに熱いし筋が通っているような気がしました。
無策に佐野の名前を出し、キヨマサの怒りに触れるというのは、落ちぶれて思考停止になっていた武道らしい行動といえたでしょう。ひょっとすると、直人ならもっとうまく立ち回っていたかもしれません。体は武道だとしても、警察官として身に着けた格闘術を遣えば、上手に立ち回れたもしれないからです。
なので、結局、捜査資料を読み込ませるよりは、殴り合ってたほうが役に立っていたかもしれません。(なにしろ結果的に必要だったのは佐野と希崎のなまえだけでしたから)
そして、逃亡の一手として直人を求めた武道でしたが、同じ家の日向と出会うことで、彼女の優しさに感化され、彼女を死なせたくないというお思いを固めます。
さらに、タクヤの体を慮る仲間たちの思いにも感化され、皆ができなかったキヨマサくんに喧嘩吹っかけるというところまで上り詰めました。
日向を救うという目標達成には程遠い状態ではありますが、武道の人生はこの勇気だけでも相当大きく変わりそうな気がします。(逆にキヨマサ君の返り討ちにあうと同じ落ちぶれた生活にもどることになりそうですが)
しかし、それでも、おそらく武道の人生は変わることは無いのかもしれないと思うと、可愛そうだなとも思うのでした。
そんな絶望の中から仲間に感化され這い上がり勇気を身に着けていく一回でした。
25歳で巡査部長!?
直人の警察手帳がチラッと映るシーンがありましたが、これを見ると彼は警視庁の巡査部長だそうです。
橘日向が享年26との言及があるので、橘直人の年齢はどんなに高く計算しても25です。その彼が警視庁巡査部長を引き受けているというのはあり得ないほどのスピード出世、です。
これは常軌を逸した努力といえるほどの努力を積んでいると言って良いでしょう。25歳で巡査部長はありえないと思っていたのですが、調べてみるとギリギリ慣れないこともないようです。
巡査部長は警察内の階級では巡査、巡査長に次いで下から三番目の役職です。とはいえ、部長試験は大卒なら約2年以上、大卒以外なら約4年以上の勤務年数が必要です。
直人の年齢を考えると、22歳で大学卒業、警察学校に半年ほど通った後、2年間で部長試験を受けるに値するという優秀さを認められたうえで、受験に合格というかなりギリギリの道を通ってきていると考えられます。
彼が姉を救うためにどんなことでもしたというだけはある、というよりも、もはや姉を救うことだけを人生の至上命題として生きてきたのではないかと言うくらいの勢いで生きています。
ここまでくるともはや変な人のレベルで、何故そこまで猛烈に努力できたのかとつい思ってしまうほどでした。
ちなみに、巡査部長と言うと『こち亀』の大原部長がとくに有名です。彼は年齢で言うと「おっさん」のレベルなので、下手すると直人の年齢と倍くらいの違いがあるかもしれません。(50歳)
終わりに
ボコボコにされたどん底から、大切なものを拾い集めて、それを支えに勇気を絞り出して大きな敵に立ち向かおうとする武道の内面的な戦いが上手に描かれた一話のように感じました。
しかし、自分も武道と同じくらいの年齢ですから12年前にタイムリープすると同じ中学生ということになります。
武道ほど落ちぶれてはいないとはいえ、決して成功しているとも思えない自分が12年前にタイムリープしたら、人生をやり直す機会を得たとおもうでしょう。
その機会を成り行き任せとはいえ、彼女のために使う武道は良い奴なんだなと思いました。