アニメ『呪術廻戦 第24話 共犯』のレビューです。
伏黒の過去が紐解かれた前廻から一転して、釘崎の魅力にフォーカスされた第24話。呪胎九相図の兄弟との対決が描かれる。
あらすじ
虎杖、釘崎は呪胎九相図の兄弟・壊相と血塗と交戦を続けていた。
呪胎九相図とは、呪霊を孕む女性から生み出された呪霊であり、特級呪物として高専に3つが封印されていた。そのうち、二つが受肉し、虎杖と釘崎の目の前に立ちはだかっていた。
壊相は背中を見られたことで怒りと血をぶちまける。虎杖は激しい攻撃を回避するため、釘崎を担いで走り出し、逃走する。なんとか間合いの外に出たと思った二人だったが、血塗による攻撃を受けてしまう。
さらに、そこへ壊相が追いついてしまう。壊相曰く、血そのものに毒性があるわけではない。しかし、壊相はさらに、血の付着した部分から、腐食を開始し、10~15分で人を死に至らしめる術式であると術式を公開する。この公開にによって、壊相は致死時間がより短縮することを確信する。
しかし、釘崎は自らの術式発動の為、自らの腕に釘を打ち込んで、「血と術式によってできた繋がり」を利用して、壊相と血塗を同時に苦痛に陥れる。それでも壊相は術式を解除しない。しかし、釘崎はさらに自らの腕に釘を打ち込んで「我慢比べ」を持ちかける。
虎杖はその隙をついて、血塗に大ダメージを与える。一方の釘崎は我慢比べと称して、計3本の釘を自らの腕に打ち込む。そして、虎杖と釘崎は互いの敵を交代する。既に瀕死の血塗を釘崎が始末し、虎杖が健康状態である壊相を相手にする図式に代わる。
それでも壊相は術式を解除しないと覚悟を決める。しかし、血塗の呼びかけと自分たち三兄弟で互いに契り交わした「3人が互いの為に」という言葉を思い出し、心が揺らいでしまう。さらに、壊相は虎杖に圧倒されてしまい、ついに術式を解除してしまう。
ところが、虎杖と釘崎はそれぞれ黒閃の発動に成功する。これにより、壊相は片腕を失い、血塗は絶命してしまう。
壊相は自らに何が起きたかを理解できずにいたが、ちょうど通りがかった車両を利用して逃走を図る。しかし、壊相は超人・虎杖に追い着かれた上、釘崎によって現場に残された片腕をトリガーに、術式を発動されてしまう。これにより、壊相は車両から転げ落ち、虎杖にとどめを刺されてしまうのであった。
弟たちの死亡を、呪胎九相図の長兄は直感的に感知する。そして、その場にいた夏油から、弟たちが虎杖と釘崎によって殺害されたことを知らされるのだった。
戦いは終わったものの、壊相、血塗共に消滅しなかった。これは、二人がただの呪霊ではなく、呪詛師、あるいは何らかの人間であることを示していた。
虎杖は、人間を殺めてしまったことを気にしていないかと釘崎に尋ねるが、釘崎はケロッと、そこまで他人のことに構っていられないと答える。
そして、二人は宿儺の指を握ってぶっ倒れている伏黒と合流する。伏黒は、高専の規定に基づいて、いったん、宿儺の指を封印するという方針を伝えるも、虎杖に指を渡した瞬間、宿儺が現れ、指を食ってしまう。
唖然とする三人だったが、迎えに来てブチギレる新田の元へと向かい、呑気に帰還するのだった。
その後、五条は歌姫に電話をし、高専の裏切り者について思案しつつも、冥々にも連絡を出すのだった。
伏黒は、今回の八十八橋の一件が、虎杖が宿儺の指を食べたことによる宿儺の復活の共振現象であることを釘崎に話すと同時に、このことを虎杖には伝えない様に念を押す。
しかし、一方の虎杖は、宿儺から直々にこの共振現象について語られていた。宿儺も虎杖も、伏黒が少年院で問うた言葉「助けた人間がほかの人間を傷つけたらどうするんだ」を覚えていた。だからこそ、虎杖は宿儺に、このことを伏黒には伝えない様に念を押す。
東堂、冥々は楽巌寺から「規格外の特級とは異なり、1級呪術師は制度的に重要である」と念押されたが、変わらず、禪院真希、パンダ、釘崎、伏黒、虎杖を1級術師に推薦するという言葉を放った。
そして、当の三人は、新宿での買い物中に、五条から「緊急指令」で呼び出され、任務へと向かうのだった。
鉄骨娘・釘崎野薔薇の魅力
釘崎はただの田舎娘のはずなのですが、メンタル・フィジカルどちらをとっても強烈な女性です。今回も、腕に釘3本ぶち込んでまだ他人を煽っていられるのだから、恐ろしすぎます。
釘に込めている呪力を考えると、釘崎は呪力もかなり多いように感じられます。このことについては17話の感想でも述べていますが、名家の出身でもないただの田舎娘にもかかわらず、ここまで強力とは一体何ごとなのでしょう。
17話の段階では「ま、まぁ、これが呪術廻戦では当たり前の水準かも知れないし」と思っていましたが、黒閃を放ち、(五条の手が回っているとはいえ)一級術師に推薦されるなど、作中でも、若いうちからかなりの実力者・才能を有していることがうかがえます。
やはりその原動力は彼女の確固たる自我によるところなのでしょうか。
人を殺めることに迷いがある虎杖に対して、釘崎はかなり割り切った考えをしていました。一方で、彼女が冷酷な人間かと言うとそうではなく、仲間のことは(雑な扱いをすることはあっても)、大切に思い、信頼しています。じゃなきゃ自分の腕に釘3本も刺せません。
そして、今廻のタイトルにもなっている「共犯」と言う言葉を使って、虎杖が罪悪感を一人で抱え込まない様に気を遣ったりもしています。
自分第一主義の確固たる自我を持ち、それでいて、別に冷酷な訳でもないのは、釘崎の面白いところで、ただ着け足しで入れてもらっているヒロインではないことがはっきりと分かります。
第3話(初登場時)には、五条から「呪術師としてイカれているか見極めさせてもらう」と言うようなことを言われています。第3話の段階で「しっかり、イカれている」と五条から認められていますが、それにしても今回のイカれ様はぶっちぎりですさまじいものでした。
虎杖にもしっかりフォーカスされていた
改めて虎杖のフィジカルがとんでもないものだと思い知らされました。釘崎すら驚かせたり、車を追いかけたりなど、この作品の中でも虎杖は驚異的なフィジカルなものだったと思い知らされました。
交流会では、超人同士が戦い合っていたので、あまり気にならなりませんでしたし、八十八橋編が始まってからは伏黒が思っていた以上に動けるということに目がいっていて虎杖が超人であることを忘れてしまっていました。
一方で、メンタル面では、「人の生死」に対して、割り切れない感情を持ち続けていたりと、今後も、苦悩し続けることになるのでしょう。
特に、積極的に表に出てくることを割けてきたかのような宿儺が、ここに来て、虎杖を煽るためだけに口を開いたりし、宿儺という圧倒的「悪」を孕んだ危険分子であることを再認識させられるシーンもありました。
交流会編では「虎杖を殺すなんてとんでもない!」と思ったものでした。ただ、それは、直前の真人編で、真人のえげつなさが目立っていたことや、宿儺自身がそこまで活発に行動していなかったことに起因していたものでした実際には、縛りがあるとはいえ、1分間、体を自由に奪うことができる上、奪わずとも、何らかの形で部分的に出すことはできる事といったことを改めて提示されて、宿儺の危険性を感じたことによって、「虎杖をさっさと始末したいと思うのも無理はない」と若干、楽厳寺学長に同情したのでした。
そう言った意味では、虎杖関連では「そういやそうだったな」ということを、再認識させられる最終回でした。
終わりに
あっという間の2クールでした。私は無料試し読みで読んでから少し気になって、アニメを見始めた、どちらかというといわゆる「アニメ勢」でしたが、このアニメは本当に見ていてよかったと思いました。
そして、最終廻までしっかりと話を進めて、最後の最後に釘崎野薔薇の魅力を引き出してくれた今廻も非常に良い物だと感じました。
釘崎兄貴の活躍もそうですが、短いながらも呪胎九相図兄弟の絆にほだされた人も多いのではと思います。
0巻の劇場版公開が決定しておりますし、次もとても楽しみです。
また虎杖がアニメで動き回るその時を楽しみにしています。