第1話は特番仕様で1時間放送でした。
ところが、アマプラ視聴勢の私はうかつにも、アマプラで分割されている通りの話数で区切られていると思っていました。
なので、急きょ、第1話を前編・後編に分けてレビューを執筆することにいたしました。
前編は以下の記事です。
あらすじ
主人公・恭平はシェアハウスで暮らす仲間たちと共に学科の説明会に赴く。運よく全員同じ学科であり、課題の共有などもできることから、皆、嬉々としていた。
学生番号順と言うことで、いったんはシェアハウスの仲間たちと別れる恭平。隣の席に座った火川とスポーツトークをし出すものの、今まで10年未来の世界に居た物だから、スポーツに関する記憶も10年後の物であり、ちぐはぐな会話になってしまうのだった。
ガイダンスでは、卒業生の希望進路の少なさや、エンタメ業界と言う狭き門への厳しい現実を突きつけられるような言葉があったが、それでも、皆が技術を突き詰められるようにと発破をかけられるのだった。恭平はその話を聞いて、改めて気を引き締めようと決意していた。
そして、恭平は立ち上がった時、落ちていた学生証を見つけた。落とし主っぽそうな女性に声をかけた瞬間、恭平は驚く。その学生証を落とした人物は、サクシードでの部長・河瀬川だった。
思わず「部長」と呼びかけてしまい、けげんな目を向けられる恭平ではあったが、つっけんどんな態度の河瀬川に押し切られるように学生証を返す。
それからしばらく後、今までの学校の授業とは全く持って異なる分野の知識を入れることになった恭平たちは、先輩の実習の見学で知識を詰め込むということをしていた。
しかし、一方で、河瀬川だけはすでに演出の実習に参加させてもらっており、はりきっていた。張り切り過ぎて少しつっけんどんな態度をとってしまう河瀬川は周囲からは少し煙たがられていたが、恭平は素直に尊敬していた。
さらに、河瀬川は別の授業では教授からの質問に挙手して答えるなど、積極性を見せていた。一方で、恭平はシェアハウスの仲間たちが授業中に銘々勝手なことをして、お気楽に過ごしていることに安心感を覚えていた。
それでも、河瀬川の差し金で、シェアハウス仲間の一人・貫之に指名が飛ぶと事態は一転する。今まで居眠りを決め込んでいた貫之だったが、板書を見るなり、一発で正解を答える。
その後の昼食の席で、貫之をほめる恭平だったが、貫之は大したことないという。そんな貫之と奈々子は実習があるからと早々に席を立つ。一方の恭平は、安心から一転、暗い気持ちになっていた。自分は10年分のストックがあるのだから、周りには負けないと思っていたが、それでも、独自の強みを持つ学生たちには力及んでおらず、またも何もできずに終わってしまうのかと暗い思いを抱えていた。
そんな恭平を心配するように志野に覗き込まれたことで、恭平は我に返る。そこへ、火川が参上し、忍者サークルの話をする。サークルの見学に行ってみようという話になった恭平と志野は部室等に向かうも、そこはもぬけの殻だった。
しかし、何処とも知れぬサークルの新歓コンパに誘われ、校庭での飲み会に参加することに。時間はあっという間に過ぎ、恭平が意を決して志野に夢について尋ねようとしたとき、志野は眠りこけていた。
そんな志野を担いで帰路につく恭平。志野は恭平の背中で目を覚ます。
志野は、昼間から恭平が思い悩んでいることを指摘し、話してみろと優しく言う。
恭平は自分の無力、周りの才能から来る劣等感について語る。しかし、志野はそれでも、恭平にしか出来ない事、恭平以外の人には出来ない事がきっとあると語り、慰める。
そんなこんなで家に着いた恭平と志野だったが、貫之と奈々子はまだ帰ってきていなかった。志野は早くも寝ると言って部屋に戻ったが、恭平は少しだけ居間で過ごすことに。TVを見ながら、恭平はそこで志野に荷物を返し忘れたことを思い出す。
そして、志野の部屋に向かうと、少しだけ扉が開いていることに気付く。その隙間から中を除いた瞬間、志野の描いている絵が目に飛び込んでくる。
その絵は、「プラチナ世代」の一人、恭平が未来で大好きだった絵師の絵だった。思いもかけず、憧れの人と出会うことができた恭平は感涙にむせぶ一方、再スタートの決意を固めるのだった。
やり過ぎヒロインでは
恭平と極めて近い関係になった志野ちゃん。ビジュアルだけ見ればちょっと幼い雰囲気もあって可愛いヒロインです。(髪色と言い『ぐらんぶる』の愛奈に似ていますが)ところが、近すぎるというか、あまりにも無防備な感じが少しやり過ぎな感じもあります。
主人公が奥手、朴念仁、積極性に欠けるタイプである以上、ヒロインの方から近づかなければいけないのですが、それにしてもちょっと不自然感はありました。
河瀬川や奈々子は精神的なハードルが高いというか、一般人並みなのに対して、志野は(悪く言えば)ガバガバです。
一方で10年後の河瀬川は見知らぬ相手といきなりカフェに行くぐらい人間関係のハードルが下がっていて、人間関係の距離感が大分極端感じがします。
ライトノベル的な脚色は多分にあるとは思います。それでも、普通の人たちが普通の環境で、普通じゃない人間関係を築いているとどうしても違和感はあります。
ただ、これは私が普段人と距離を置くような人間関係を「普通」として受け取っているからと言う側面もあるかもしれません。一般的、平均的な人からすると、私がイレギュラーで、だから、本作での人間関係がことさら異質に感じるのかもしれません。
いや、でも、さすがに初見のシェアハウスの同居人の部屋に乗り込んで布団を借りるような人間関係はおかしいか・・・。
相変らず暗い恭平
前半部ではかなりひどい目にあい、能力はあるはずなのに職を失うなど、結構な試練の中、失意に陥っていました。人生をやり直してからもやはりそうで、周りの優秀さに劣等感を感じていました。
能力はあるし、頑張れば追いつけそうなものだけど、とは思うのですが、ネガティブになってしまうと、自分にあるものが見えなくなってしまうというのはよくわかります。
むしろ、能力なんかなくてもある程度うまくやっていけてれば、それだけで人間満足する物です。どんな天才や超人でも、周囲の環境や期待が自分の想定を超え始めると、辛くなってしまうものです。
終わりに
対人関係においては、全く持ってリアリティがない作品ですが、なんとなく恭平の感じる劣等感には思い当たる節があります。
そう考えると、自分を猛烈に投影して視聴をしているな、と思ってしまっています。
現実を舞台にしているため、どうしても、自分が同じ環境に居たらどう思うか、という風に見てしまい、作品のシナリオへの没入感が他と違う感覚があります。今までファンタジーのようなものばかりみてきたので、この感覚は少し新鮮でした。
ただ、自分基準の「リアリティ」を細部に追及してしまうと、他人の感覚とずれが生じてきてしまうので、他人の感覚に適度に近づけるように、少しずつ視聴してみようと思いました。