ドムストの雑記帳

全然器用に生きられない私の真面目な事、勉強の事、お楽しみの事を書くために開設したブログです。

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わが思い出のテイルズオブジアビスを語る

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テイルズオブジアビスは、テイルズシリーズというゲームの中でも、10周年の節目に作られた作品で、無知で自尊心の高い主人公・ルークが多くの人々を殺めてしまったところから、贖罪の気持ちを携えて、成長をして行く物語です。

 

ルークの人格、無責任さ、それを取り巻くパーティーメンバーの冷たい態度などが相まって、ストーリー序盤のギスギスした関係はRPGの中でも群を抜いております。

最近では、Vtuberの大空スバルが配信し「軽い気持ちで手を出したら激重だった」と感想を述べるほど、重いストーリーです。

その一方で、不器用ながらも成長していこうとするルークと、重い出生の秘密や、その因縁の全貌をまるごと歌詞にした主題歌「カルマ」はBUMP OF CHIKENの傑作の1つといってもいいでしょう。

BUMP OF CHICKEN『カルマ』 - YouTube

※埋め込み再生ができないので、リンクだけ張っておきます

そんなアビスは、私にとっても原点といえるほどの思い出深い作品であり、その思い出を語っていこうと思います。

 

アビスとの出会い

といっても大した出会いではないんですが。

 

ちょうど、テイルズオブジアビスのアニメを放映していたころ、世間は地デジ化が推し進められていました。我が家にも新型の薄いTVが導入され、いきなりリモコンのボタンが増え、機能が増えました。

当時、中学生だった私は、ボタンの増えたリモコンを弄り回しては、TVを見てるんだか見てないんだかよくわからない遊び方をしていました。

その時に、発見したのが「番組表」という機能で、今となっては録画機能を使う上でも当たり前の機能ですが、ブラウン管TVにはなく、当時の私にはとても面白く感じられました。

また、この番組表を通じて、TOKYO MXとも出会いました。新聞は購読していたので、TV欄は見ていたものの、TOKYO MXは新聞の中の方にしかなく、これまた、私にとっては見知らぬものでした。しかも、MXは今と同じように、アニメを結構やっていたんですよね。中学生だった私からすると、アニメはやっぱりちょうどいい娯楽でしたが、家のルールも厳しかったので、当時、日中・夕方にやっていたジャンプアニメを見ることはできていませんでした。

 

で、少し前置きが長くなったんですが、アビスが金曜9時からの放送で、ちょうど運が良ければ、私が視聴可能な時間でした。父は会社で、金曜は飲み会も多く、母はそのタイミングで風呂に入っていることも多かったので、見るチャンスがあったというわけです。

 

当初は、番組表で名前を見てもなんのこっちゃで全く理解できず、ちらっと見たところ、これが中学生男子の心のツボだったんですよね。

 

アビスから受けた感銘

淡白めな恋愛観

アビスはヒロイン・ティアが中庸というか、あまり主人公に好意を抱いていない作品です。

好意を抱いていない、というと言い過ぎかもしれませんが、再序盤は、完全にお坊ちゃまのルークに対して、責任感だけで同行しています。その後も、なんだかんだでルークに同行するものの、ルークに対する明確な好意は抱いていませんでした。その後、ルークが成長していくにつれ、段々と好意を抱き始めるのですが、それを思い切り前面に押し出すようなこともしないクールヒロイン・ティアはあまりそれを表に出すことはありません。

成長していくルークに信頼を寄せていくことはあっても、最終的にはルークとティアはキスどころか触れ合うことすら一切ないです。そういった恋愛関係が、私にとってはツボでした。

 

最近でも、やたら都合良く主人公に惚れるヒロインの作品なんかはあったりしますが、大人ぶりたい・内心斜に構えた心境のドムスト少年のツボだったわけです。

 

主人公ルークの成長過程

そして、成長していくルークの姿を丹念に描いていく様にも、非常に強い感銘を受けました。

ルークは一度は大勢の人を殺め、唐突すぎる現実と向き合いきれずに無責任な言動からパーティーメンバーから見放されるも、何とかして変わりたいという決意を抱きます。しかし、惨劇とその後の無責任な言動からパーティーメンバーの多くからはすでに失望され、針の筵でチクチクと過去のことを言われ続けます。それでも何とか次なる惨劇を食い止めようと尽力するも、今度は身内から叱られるほど焦ってしまいます。その後、何とか敵を打ち倒すも、自身の出生の秘密や自らの引き起こした惨劇への罪の意識から、自己を肯定しきれず、自分の死と引き換えに世界が救えるなら、あっさりと死を受け入れようとしてしまうなど、善行を行っている一方で、不安定な精神を抱えて、事態に向き合っていくことになります。

 

何が言いたいかというと「成長したい!」という決意だけで、人間すべてが変わるわけではありません。意志によって行動を選択できたとしても、自分の能力が伴わなければ、行動を完遂することも、結果に結びつけることも難しいのです。

 

ただ、成長の過程で、良い方向に向きつつも、どこかで躓いてしまったり、ゆがみを抱えたまま、成長してしまうということもあります。そういったことを1つ1つ、積み上げていって、最後に、自分を自分として受け入れることができ、自身の出生以来と因縁をつけ、最後の戦いに挑むルークの姿を見ていると、感情移入以上の喜びというか、頼もしさを感じてしまうのでした。

 

 

多くの作品では、そういった過程を(修行シーンなどで)飛ばしてしまいがちです。それはそれでいいとは思います。テンポの良さが心地よい作品というのもありますから。

ただ、そういった過程が描かれるというのは、私の好きなリアリティを感じさせてくれるものです。現実でも、決めたことを決めたとおりに完遂することの難しさ、結果が伴うまで続ける難しさというのは筆舌に尽くしがたいものがあります。

そういったことを、丹念に描くということは、シナリオのテンポの悪さを伴うという難しさもありつつ、そこに挑戦してくれたシナリオには、感謝の念すら覚えるのでした。

 

複雑な人間関係

アビスは成り行きで集まったパーティーメンバーではあるものの、敵のボスキャラクターとそれぞれ何らかの因縁のあるメンバーが集まっています。

ラスボスと因縁のある人物たちが集まっていく、というのも悪くはないんですが、パーティーメンバーとボスキャラクター、全員がそれぞれ誰かと物語開始前の因縁を持っています。

 

かつては同じ夢を見た仲間や弟子と師匠という関係であっても、それぞれ敵味方に分かれて世界の命運をかけて戦う物語となっているのがアビスのシナリオです。

その結果、つらい思いをしないものは誰一人としておらず、誰かしら立ち止まりたくなるほどの悲しみを乗り越えていくのです。

 

作中で何度も刃を交えているうちに芽生える関係性というのも悪くはないのですが、かつては敵同士になるなどと微塵も思っておらず、同じ時間を過ごした者同士が刃を交えなければならない残酷さが描かれ続けます。

 

しかも、常に1対1の関係になっているわけでもなく、一人が複数の相手と因縁を持つということもごく当たり前のように起きています。そういった濃厚な関係性から紡がれる人間ドラマというのは、やはり即席の人間関係では得られない感情を与えてくれるものでした。

 

アビスから受けた影響

さて、長々とアビスの魅力を語ってきましたが、そんなアビスの魅力を浴びた私がどうなったかというと、まずいわゆるオタクとなりました。

もともとおとなしい方で、運動より本好きだったので、なるべくしてなったというところではありますが、それ以前はあまりマンガを読まず、ジャンプ作品についてもまったくもって疎い状態でした。ただ、家庭のルールで厳しく縛り付けられ、あまりマンガを読み漁るということもなく、私が本格的にマンガやゲーム・アニメに触れられるようになるのは、さらに高校入学以降の話でした。

 

その際には、ゴッドイーター、ヘルシングといった作品に触れ、その影響を多大に受け始めるのでしたが、アニメや漫画に触れた発端としてのアビスは絶対に欠かすことのできない存在だと思っています。

 

それ以上に、私にとって一大事だったのは、小説を書き始めたというところです。もともと、何か物語らしきものを頭の中で想像しているのは好きだったのですが、アビスを境に、一気に物語が複雑化しました。

アビスも、宗教を中心の影響の大きい2帝国の国交を巡るエピソードが絡められた政治的・歴史的な物語でもあり、そういった要素に出会った私の作品は、一気に複雑な設定が増えました。

その作品は、『ジャイオニア戦記』という名前で、中学時代、高校時代、大学時代と幾度もなく改稿を続け、設定を加えた物語です。

今なお、未完の物語であり、最近は様々な作品に浮気しては、書き続けられないということを繰り返していますが、改めてもう一度トライしてみたいと思える作品でもあります。

 

終わりに

賛否両論の問題作アビスでしたが、私にとってはとてつもなくツボで、影響の大きな作品でした。

結局、ゲーム本編のプレイは、大学時代に3DS版をプレイするときまでを待たねばなりませんが、それでも、私にとっては多大な影響を与えた作品です。

 

大空スバルのアビス実況完結記念ではありませんが、彼女がアビスのエンディングでアビスについて語っているのを見て、つい筆を執ってしまった次第です。

 

よく考えりゃ、彼女が実況しているときに、Twitterのトレンドにアビスの名前が出てたので、それに便乗して記事を書けばよかったと、下種の知恵をいまさら思いついたりしたのでした。