ドムストの雑記帳

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危険なワン・フォー・オール【僕のヒーローアカデミア 第98話 受け継ぐモノ】

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あらすじ

 

某所。拘束された『オール・フォー・ワン』は不敵に微笑む。自らの弟の影『ワン・フォー・オール』が動き出したことを察知しながら。

 

A組VS B組合同戦闘訓練第5戦目。

 

A組は前回の爆轟の様に、緑谷が前進し、残りがそれについていく陣形をとる。しかし、爆轟チームの様に、索敵がいない分、囮となる緑谷に負担が集中する陣形となっていた。

 

一方、B組サイドでは、物間が心操に講釈を垂れ始めていた。物間は「個性を使ってヒーローを目指すほど、ヒーローらしからぬ個性に葛藤させられる」者同士として親近感を感じていると語るのだった。

 

そんな折、試合観戦を続けているオールマイトのところに、電話がかかってくる。電話の主はオールマイトの師・グラントリノ。師曰く、『ワン・フォー・オール』について、オールマイトの先代継承者・志村は夢の中で影のような男性に「今はその時ではない」と言われたとのことだった。

 

「今はその時ではない」では、いつかその時が来るのではないか。オールマイトは緑谷を見つめ、そんな一抹の不安を抱えていた。

 

その後、索敵を続け、言葉ではなく、指さしでコミュニケーションを続け、前進していくA組チーム。

 

そして、浮いた緑谷に物間が仕掛ける。挑発を続ける物間に対し、緑谷は物間が心操の個性をコピーしている可能性を考え、応答できずにいた。

 

一方のA組・麗日、峰田、芦戸はB組の連携攻撃に苦しめられていた。攻撃を防ぎきってはいるものの、位置は割れ、相手の攻撃に翻弄され、緑谷が囮機能を果たせていない状態に陥っていた。

 

そんな中、物間が使用したのはB組・柳の個性だった。物間は柳の個性で物を浮かせて操り、緑谷を翻弄したうえ、爆轟のことを挙げつらい、更に緑谷を挑発するのだった。

 

しかし、それが緑谷の怒りのトリガーを引いてしまう。その瞬間、緑谷から触手のようなものが飛び出す。触手は緑谷を心操のところまで吹き飛ばすが、その後も完全にコントロールを外れ、緑谷を振り回し続け、いたるところに叩き付け始めた。

 

異常な事態、『ワン・フォー・オール』の暴走と言う情報、それらを知っていたオールマイトは試合を止めるべきだと進言する。

 

麗日は貧しさゆえに常に疲れたような顔をしていた両親を見ていた彼女は、ヒーロー活動で顔が明るくなった両親を見て以来、誰かを助けることが当たり前になっていた。しかし、入試でとてつもなく難しくなったそんな当たり前のために体を張る緑谷を目の当たりにした彼女は、「みんなを助けるヒーローを誰が助けるのか」そんな思いを抱いていた。

 

だからこそ、麗日は個性に振り回される緑谷を助けようと真っ先に手を差し伸べた。そして、その時、そこに居た心操の力を借りようと声をあげるのだった。

 

心操の個性を使えば、個性を強制停止させられる。そんな心操が緑谷が返事をしたくなる言葉に考えを巡らせる。すべては体育祭が始まり。緑谷に負けて以来、ヒーローを目指す道を歩み始め、とうとうこの日がやってきた。あの日負けた雪辱を腫らせる機会がやってきた。俺はこんなに強くなったと言える日がやってきた。

 

だから心操は「俺と戦え!」と叫び、緑谷はそれにこたえるかのように、痛みで絶叫するのだった。

 

そして、緑谷は夢で見た『ワン・フォー・オール空間』とでもいうべき場所に立っていることに気付く。

その中で、はっきりとした姿の過去の『ワン・フォー・オール』の継承者と出会う。

 

その継承者曰く、怒りと拘束したいという願望によって、その継承者自身が有していた個性が発言したとのことだった。『ワン・フォー・オール』は継承されて行く中で、継承者たちの個性を取り込んでいき、それを蓄えていっていた。そして、蓄えられた個性を発現させ、使いこなす権利を得たのが、緑谷出久だった。

 

『ワン・フォー・オール空間』の中でそんなことを聞かされた緑谷は、麗日の張り手で目を覚ます。

戸惑いながらも、個性が落ち着いていること、自身が助けられたことを認識する。

 

しかし、落ち着いたのもつかの間、物間が強襲を仕掛ける。さらに、A組・B組総員がその場に揃う事態となり、事態は総力戦の決戦となるのだった。

 

超ハイリスクな個性『ワン・フォー・オール』

 

暴走した日からすぐ、個性を使用しようとした瞬間、怒りをトリガーに暴走し出した『ワン・フォー・オール』。戦闘訓練だったからよかったものの、これが市街地で起きていたらとんでもないことになっていました。

 

一方で、『ワン・フォー・オール』は個性を継承していく個性なのだとしたら、強い個性を持つ者に継承する方が有利になるでしょう。そうなると、通形に継がせるという雄英の規定路線が正解だったような気がします。(彼の個性はかなり癖が強いので仮に次代に継承されたとしても扱いが難しいかも知れませんが

ただ、極端な話、無個性であったオールマイトに継承させたこと自体が間違いだったかもしれません。

 

『ワン・フォー・オール』が過去の継承者の個性を格納して来た事態は初めて明かされたようですが、『ワン・フォー・オール空間』内の過去の継承者たちは知っていたようです。

 

こうしてくっきりハッキリ人格を前面に出せるようになったのも、何らかのトリガーがあってのことかもしれませんが、もうちょっと前に出てきてくれていれば、と思わないでもないところではあります。

『ワン・フォー・オール』はただの個性ではなく、巨悪の道を突き進む『オール・フォー・ワン』への切り札。この世界に安寧をもたらす勇者に授けられる伝説の剣のような個性です。

 

それに関する情報を伝えようとすることは、過去の継承者たちも必死で行うべきで、さもなければ、「継がれゆく個性」という意味が薄れてきてしまいます。

そう言う意味では、ちょっと今まで先代継承者たち怠けてた?と思ってしまう次第です。

 

この『ワン・フォー・オール空間』がしっかりと発言するようになった理由はおそらく、『初代』の言っていた「特異点」がキーワードであり、この特異点を越えて生まれた人間でなければこの空間をしっかり発言できなかったのであろうとは推察されます。

 

ただ、やはり強い力を持つ者と言うのは、それだけの責任を(否が応でも)押し付けられてしまうので、そこの意地をきちんと見せてほしかったという思いがあります。

 

ヒーローになるからこそ歪んでいる

 

普段から何かとA組に絡んできては鬱陶しい言動を繰り広げる物間ですが、ついに緑谷をキレさせるほどの発言に至りました。

 

その一方で、自身の個性が、ヒーロー向きとは言い難い個性であり、個性を使って有利に立ち回ろうとすればするほど、理想的なヒーロー像からかけ離れていくジレンマも感じていました。そして、今までそのことを誰にも話しておらず、似たような個性の心操にだけ、今回初めてその本音を明かしたのだと思われます。

 

緑谷を怒らせるに至った発言自体も、おそらく長髪用に若干脚色されたところがあり、彼なりに爆轟が抱える心情的なものに気付きつつも、あえてそこを逆なですることで、緑谷を怒らせることに成功しました。

 

物間の個性・コピーは確かに他人の個性を借りる個性ですが、それゆえに、使う個性に適合・精通していないと、コピーした個性をまともに使いこなせずに終わってしまう、リスクの高い個性です。

サシでのやりあいとなれば、こちらは無個性状態で相手の個性をコピーしなければなりません。そうなると、残された武器は心理戦であり、悪辣な挑発、見下したような態度で相手の軽率な行動を引き出すという道しかありません。

 

心操も「洗脳」という単語のイメージ自体が良くない個性であり、他の個性と比べて「悪用されそう感」が強いと言ったところです。だからこそ、対人戦においては不意を突けば無傷での確保も可能と言う良い線行ける個性なのに、言葉尻で差別され、入試では対ロボット戦闘と言うことで、個性の強みを一切発揮できませんでした。

 

二人が必死で戦おうとすればするほど、ヒーローらしからぬ、極端な言い方をすれば、外道な戦い方をせざるを得ないことが共通点です。

 

だからこそ、物間は心操と二人きりで話をしたのだと思います。

 

ただ、体育祭以前の心操ならば、自身の個性に劣等感はあったかもしれませんが、今は、訓練を積み、自分にできることがあるということを認識するようになっているように感じます。

 

だからこそ、物間がいつまでも個性のイメージから来るハンデに苦しめられ、歪んだ正確になっているのに対し、心操は同調するでもなく、ただその話を聞いている立場を取っていたのだと思います。

 

緑谷に「俺と戦え」と叫べたのも、ひとえに、自分の個性を受け止められたからこそだと思え、既に、心操は物間を精神的には超えた立場にいるのではないかと思います。

 

ある意味、B組と言う咬ませ犬扱いを受けやすい立場と、どん底から這い上がってきた人間と言う対極が、二人の精神的成長の差を生んでしまったのかな、と思います。

 

ただ、物間は葛藤を抱えつつも、その毒舌で発散しているところもあり、個性のことを気に病み過ぎて精神を病んでしまうことはないのかな、と思いました。

 

終わりに

シーズン5が始まった直後、再三繰り返された『ワン・フォー・オール』の謎の一端がついに解放されました。

今までとは比にならないほどの大暴走を経て、ため込んできた伏線の数々がついに解き放たれたと言った感じです。

 

今まで訓練編であり、正直ダレてきたという感覚はあったのですが、ここで少し伏線を回収しつつ、話を引き締めることに成功したような気がします。

 

大乱戦に突入してしまった以上、この乱戦をどう切り抜けていくのか。楽しみにしています。