あらすじ
三つの頭を持つ蛇へと変身したキタニジ。その力は今までの死神を圧倒的にしのぐものだった。
しかし、ネクはビイトとシキと言う仲間の援護を得て、二度の共鳴攻撃を駆使し、キタニジを倒す。キタニジは渋谷の危機をつぶやきながら消えて行ってしまうのだった。
キタニジを倒した3人の前に扉が現れる。その扉の先に『コンポーザー』がいると確信して、ネクたちは扉をくぐる。扉の先は『CAT』のグラフティがびっしりと壁に描かれた部屋だった。
もはや疑う余地はない。『コンポーザー』はハネコマである。そう信じたネクは『コンポーザー』であるハネコマに呼びかける。
しかし、そこに姿を現したのはハネコマではなく、ヨシュアだった。
ミナミモトの自爆からネクを庇って消えてしまったと思われていたヨシュアとの再会を喜ぶネク。しかし、ヨシュアは自らが『コンポーザー』だと語った。
そして、ヨシュアは自分が『コンポーザー』として渋谷を下卑た町として認識し、消滅させることを決意したと語る。その時、渋谷を存続させることを願ったキタニジは、1か月の期限で渋谷を変革することを命じられるのだった。
衝撃の真実にたじろぐネクだったが、『コンポーザー』になることを目指していたビイトはヨシュアに襲い掛かる。しかし、『コンポーザー』の権限ですべてをコントロールできるヨシュアはビイトをたやすく拘束してしまい、その上で、シキも拘束する。
さらに、ネクが失っていた記憶が返却される。その記憶の中では、ミナミモトがヨシュアを襲い、ヨシュアがミナミモトを返り討ちにし、その後、居合わせたネクを殺害し、参加者バッジを渡しているのだった。
ネクは自分を殺したのがヨシュアだったと思っていたことを後悔すらしていた。しかし、真実はその通りヨシュアがネクを殺したのだった。
そして、ヨシュアはネクとゲームをしようと持ち掛ける。合図に併せて銃を撃つ決闘を持ちかけるヨシュアはカウントダウンを始める。戸惑いを隠せないままに銃を握るネク。しかし、その脳裏にかすかにかつてハネコマが語った言葉がよぎる。そして、その言葉通り、かつてのパートナー・ヨシュアを信じ、銃を手放すのだった。
死神ゲームとは何の関係もないある日。
ネクは渋谷のスクランブル交差点で目を覚ます。今度は何が始まったのかと混乱するネクだったが、行きかう人々の一人とぶつかったことで、自分がいま、リアルグラウンド<現実世界>に居ることに気付く。
それから何日か後。
ハチ公前で待つビイトとライムのところに、ネクがやってくる。軽口をたたき合う3人のところに、さらにシキがやってくる。そして、ネクはヘッドフォンを外すと、シキと握手を交わすのだった。
その様子を104(現実の109)から見ていた二人の男、ヨシュアとハネコマはこの一件に関して言葉を交わしていた。その中で、次々と真実が明るみに出ていく。
結局、ヨシュアが渋谷を消滅させなかったのは、ネクが3週間の短期間で渋谷の人々とのかかわりの中で、著しい成長を遂げたことを認めてのことだった。
渋谷を変革し、渋谷消滅を回避するため、キタニジがとった作戦はハネコマに依頼し『レッドスカルバッジ』を作製させ、それを死神ゲームのミッションを通じて配布させ、『レッドスカルバッジ』から『インプリント』で人々を洗脳するという方法だった。
更にハネコマはミナミモトにヨシュアの正体を明かし、ミナミモトがヨシュアを狙うように仕向けた上、ミナミモトの禁断化に手を貸したのだった。そして、あわよくばミナミモトがヨシュアを倒して、渋谷の消滅を回避させる道を取らせようともしたのだった。
死神ゲームで奪われた物はすべて元に戻った。2回目の死神ゲームで出会ったカップルも、ロックミュージシャンの死神も、ヤシロもカリヤもそれぞれの生を謳歌していた。
そして、ハネコマが仕込んだものはもう一つあった。渋谷中に描かれた『CAT』のグラフティ。そこに触れた者にはインプリントによって「全力で今を楽しめ」という言葉を脳裏に刻まれるのだった。
桜庭ネク。彼は幾度となくそのグラフティに触れていたのだった。
そして、ハネコマは白い翼をはためかせると、どこかへ飛んでいった。
ネクにとっての全ての発端となった宇田川町のグラフティには、ヘッドホンと白い翼が書き足されていた。
完結!良アニメ
流石は知る人ぞ知る良ゲーム『すばらしきこのせかい』のアニメでした。シナリオに関してはかなり気に入っています。
話を壮大に過ぎなかったことにより、話としての筋の通りが良く、構成がしっかりしたように感じたからです。
登場人物の過去についての深掘りは極めて最低限度で、かなり浅かったともいえるでしょう。ただ、その分、現在のロジックについてしっかり詰められていたことが私にとってはとても好感度が高かったです。
『コンポーザー』はハネコマではなく、ヨシュアだったというのも意外性の高い点でしたが、だからこそミナミモトに狙われていたのだとつじつまが合い、割としっくりと来ています。
最後のハネコマとヨシュアの淡々としながらも核心に迫る会話も好きです。核心に迫っているくせに淡々と会話するところに強者の余裕を感じさせる演出がお気に入りです。
天使
ハネコマと『コンポーザー』ヨシュアは「天使」ではないかと思われます。
直接的に本編で天使と言う言葉は登場していません。
ですが
- ハネコマの持つ死神とは異なる白い翼
- ヨシュアの攻撃で時折登場する白い天使像
- ヨシュアの発言の中に含まれる「堕天」
以上のことから、おそらく「天使」ではないかと思われます。
そして、天使は死神の上位存在として、強大な力を有しているとも考えられます。ハネコマが『レッドスカルバッジ』を作製したのも、キタニジには無い技術があってのことだと思われます。
ヨシュアがリアルグラウンドでも特殊な能力を持っていたことは、本人の口からそれとなく語られており、ヨシュアが『コンポーザー』だったという点んもさして唐突な印象は受けませんでした。
よく考えるとハネコマと言う名前も、「羽」が入っていることから、かすかに天使なくとも翼を持つ何者かであることが暗示されていたのだと思われます。
終わりに
構成がしっかりしていて割とお気に入りだったアニメですが、12話でしっかりと完結させられました。寂しいと思う一方で、きちんと話がまとまったことについては、賛辞を送りたいと思います。(偉そうで申し訳ありませんが)