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モニターの向こうの現実と幻【パトレイバー2 the Movie考察】と…

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※本記事には『機動警察パトレイバー2 the Movie』のネタバレが存在します

※本記事はコロナについて言及しておりますが、特定の個人を誹謗・中傷するものではありません。また、あくまでこじつけた考察であり、エンターテインメントとしてお考え下さい。


ついに『機動警察パトレイバー2 the Movie』が4DXにて公開されます。

 

「機動警察パトレイバー2 the Movie」4DX版が2月より劇場公開 - コミックナタリー

 

前作が4DX上映されると聞いたときには「2なら観に行ったのに」と思ったので、本当にうれしいです。

といっても、こんなコロナの感染状況では映画館に行く気にはなれません。


冬の東京を舞台とした『2 the Movie』は「テレビの向こう側の幻と現実」を主題とした物語です。

私には、それが、コロナが猛威を振るう今、この時代と重なって見えました。

  

 

あらすじ


『パトレイバー』シリーズは、二足歩行ロボット『レイバー』が普及した世界で、『レイバー犯罪』を取り締まるために設立された警視庁内のレイバー隊『特車二課』の活躍を描いた物語です。

名前はパトカーのレイバーだから、パトレイバーというわけです。

 


アニメや漫画では比較的明かる雰囲気ですったもんだ青春群像劇的な場面も多いのです。しかし、『2 the Movie』では、軽快な雰囲気はなりを潜め、一貫してシリアスな雰囲気で物語が進んでいきます。

ドンパチやるシーンもほとんどなく、映画の大半は重苦しい雰囲気の政治サスペンスとして進んでいきます。


この映画で描かれるのは柘植という男が引き起こした事件です。


柘植は過去に自衛隊員としてPKOに参加していました。その際、現地ゲリラに襲撃を受けるも、政治的判断で発砲が許されず、部下を全滅させてしまうという事件を経験します。


その際、柘植は

『戦争』を『モニターの向こう側』へ押し込め、他国の戦争と犠牲で成り立つ『幻想の平和』の上で惰眠を貪り、あまつさえ利益を上げている日本

という思いを抱きます。そして、「現実である戦争」で「幻の平和」を上書きするべく、自らのシンパと共に行動を開始するのでした。

 

そして、東京での破壊行為を通じて、物理的に東京を孤立させる。ネットワーク回線も破壊し、妨害電波を放ち、情報的にも東京を孤立させます。そのうえで、飛行船に毒ガスを積み込み、いつでも化学兵器による攻撃を仕掛けられるよう演出します。

 

その上で「これが戦争だ。これが現実だ」と突きつけるのでした。

 

 

モニターの向こうの現実と幻


今この瞬間でも、地球上のどこかで紛争が起き、戦争が起き、銃撃や砲撃が放たれています。命を危機を感じる人、難民として祖国を追われる人が、この地上に存在します。


しかし、我々日本人はそれをテレビのモニター越しでしか見ることが無く、戦争というものを生で体験することはありません。
それ自体は非常にありがたい事ではあります。

 

しかし、現場のことを何も知ないにも関わらず、現場にいる人間に指示を出す為政者たちの無策によって問題は放置される。さらには、人々の無関心がさらに状況を悪化させていく。

 

『2 the Movie』におけるモニターの向こう側の現実とは戦争でした。

現在の日本でもほとんど同じことが言えるでしょう。しかし、戦争以上に鬼気迫るじたいにありながらも、『モニターの向こう側』に押し込められ、現実として捉えられていないものが、存在していると私は考えました。それが、コロナです。

 

 

柘植の目論見は「平和など幻。戦争という現実を知れ」というようなものでした。戦争をモニターの向こう側の出来事として、実感を持たない日本政府や日本人に対する、怒りをぶつけたという事件とも言えるでしょう。

東京を破壊し、情報を断ち、「これが戦争だ。これが現実だ」とそう言いたいがために引き起こした事件でした。


一方で、現実の日本に目を向けてみると、コロナという幻のようなものが存在します。コロナはウィルスとして確かに存在する現実のはずです。

 

しかし、我々、日本人や日本国政府は本当にそのコロナの危機を現実として捉えているのでしょうか。感染者の急増や医療崩壊が叫ばれる中で、政府はこれといった打開策を打ち出せず、「お願いベース」「国民の良識」や「医療体制の拡大をお願いする」といった、まるで他人事のような施策しか行っていません。

 

勿論、そこには数多くの利害関係が存在し、コロナのことだけに専念していればいいというわけではありません。出社して、外出して、仕事をしてくれている人が存在しているからこそ、東京(ひいては日本)が滅茶苦茶になっていないことを、忘れてはいけません。


柘植は戦争というもののなかで悲劇に遭遇したことにより、自身の正義を過信し、東京を滅茶苦茶にしました。柘植の部下たちが政治上必要な犠牲だったのか、十分な議論が尽くされたうえでの賢明な決断として、発砲許可が出なかったのかは分かりません。


ただ、一つ言えることは、柘植の数多の破壊活動をもってしても、なお、東京は(柘植の言う)「幻の平和」から脱却できませんでした。

 

 それはまるで、コロナを現実に存在するウィルスとして認知しながらも、その感染拡大や医療体制のひっ迫をモニター越しの幻としてしか見ておらず、現実としてとらえきれていない今の日本とさして変わらないのかもしれません。

 

『2 the Movie』作中では、柘植の逮捕により、妨害電波は停止されました。破壊された橋梁は修復の必要があるものの、情報の分断や毒ガスの危機は去りました。

しかし、これだけ大掛かりな事件を起こし、戦争を演出しても、当の日本人には響かなかったように感じました。

挙句、戦争というものに必要なはずの「敵」が不在であったため、柘植の引き起こした事件はただの「幻の戦争」にすぎないという指摘さえ受けるのでした。

 

事件は柘植の逮捕によって収束を向かえました。

 

では、コロナは。コロナはワクチンで収束するのでしょうか。コロナは幻ではなく現実です。いつまでも「モニターの向こう側」の幻として捉えている訳には行きません。

現実として、直視しなければなりません。

 

日本が、世界が、コロナを正しく理解し、現実として向き合うのは、いつなのでしょうか。

 


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