ドムストの雑記帳

全然器用に生きられない私の真面目な事、勉強の事、お楽しみの事を書くために開設したブログです。

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わが思い出のテイルズオブジアビスを語る

テイルズオブジアビスは、テイルズシリーズというゲームの中でも、10周年の節目に作られた作品で、無知で自尊心の高い主人公・ルークが多くの人々を殺めてしまったところから、贖罪の気持ちを携えて、成長をして行く物語です。

 

ルークの人格、無責任さ、それを取り巻くパーティーメンバーの冷たい態度などが相まって、ストーリー序盤のギスギスした関係はRPGの中でも群を抜いております。

最近では、Vtuberの大空スバルが配信し「軽い気持ちで手を出したら激重だった」と感想を述べるほど、重いストーリーです。

その一方で、不器用ながらも成長していこうとするルークと、重い出生の秘密や、その因縁の全貌をまるごと歌詞にした主題歌「カルマ」はBUMP OF CHIKENの傑作の1つといってもいいでしょう。

BUMP OF CHICKEN『カルマ』 - YouTube

※埋め込み再生ができないので、リンクだけ張っておきます

そんなアビスは、私にとっても原点といえるほどの思い出深い作品であり、その思い出を語っていこうと思います。

 

アビスとの出会い

といっても大した出会いではないんですが。

 

ちょうど、テイルズオブジアビスのアニメを放映していたころ、世間は地デジ化が推し進められていました。我が家にも新型の薄いTVが導入され、いきなりリモコンのボタンが増え、機能が増えました。

当時、中学生だった私は、ボタンの増えたリモコンを弄り回しては、TVを見てるんだか見てないんだかよくわからない遊び方をしていました。

その時に、発見したのが「番組表」という機能で、今となっては録画機能を使う上でも当たり前の機能ですが、ブラウン管TVにはなく、当時の私にはとても面白く感じられました。

また、この番組表を通じて、TOKYO MXとも出会いました。新聞は購読していたので、TV欄は見ていたものの、TOKYO MXは新聞の中の方にしかなく、これまた、私にとっては見知らぬものでした。しかも、MXは今と同じように、アニメを結構やっていたんですよね。中学生だった私からすると、アニメはやっぱりちょうどいい娯楽でしたが、家のルールも厳しかったので、当時、日中・夕方にやっていたジャンプアニメを見ることはできていませんでした。

 

で、少し前置きが長くなったんですが、アビスが金曜9時からの放送で、ちょうど運が良ければ、私が視聴可能な時間でした。父は会社で、金曜は飲み会も多く、母はそのタイミングで風呂に入っていることも多かったので、見るチャンスがあったというわけです。

 

当初は、番組表で名前を見てもなんのこっちゃで全く理解できず、ちらっと見たところ、これが中学生男子の心のツボだったんですよね。

 

アビスから受けた感銘

淡白めな恋愛観

アビスはヒロイン・ティアが中庸というか、あまり主人公に好意を抱いていない作品です。

好意を抱いていない、というと言い過ぎかもしれませんが、再序盤は、完全にお坊ちゃまのルークに対して、責任感だけで同行しています。その後も、なんだかんだでルークに同行するものの、ルークに対する明確な好意は抱いていませんでした。その後、ルークが成長していくにつれ、段々と好意を抱き始めるのですが、それを思い切り前面に押し出すようなこともしないクールヒロイン・ティアはあまりそれを表に出すことはありません。

成長していくルークに信頼を寄せていくことはあっても、最終的にはルークとティアはキスどころか触れ合うことすら一切ないです。そういった恋愛関係が、私にとってはツボでした。

 

最近でも、やたら都合良く主人公に惚れるヒロインの作品なんかはあったりしますが、大人ぶりたい・内心斜に構えた心境のドムスト少年のツボだったわけです。

 

主人公ルークの成長過程

そして、成長していくルークの姿を丹念に描いていく様にも、非常に強い感銘を受けました。

ルークは一度は大勢の人を殺め、唐突すぎる現実と向き合いきれずに無責任な言動からパーティーメンバーから見放されるも、何とかして変わりたいという決意を抱きます。しかし、惨劇とその後の無責任な言動からパーティーメンバーの多くからはすでに失望され、針の筵でチクチクと過去のことを言われ続けます。それでも何とか次なる惨劇を食い止めようと尽力するも、今度は身内から叱られるほど焦ってしまいます。その後、何とか敵を打ち倒すも、自身の出生の秘密や自らの引き起こした惨劇への罪の意識から、自己を肯定しきれず、自分の死と引き換えに世界が救えるなら、あっさりと死を受け入れようとしてしまうなど、善行を行っている一方で、不安定な精神を抱えて、事態に向き合っていくことになります。

 

何が言いたいかというと「成長したい!」という決意だけで、人間すべてが変わるわけではありません。意志によって行動を選択できたとしても、自分の能力が伴わなければ、行動を完遂することも、結果に結びつけることも難しいのです。

 

ただ、成長の過程で、良い方向に向きつつも、どこかで躓いてしまったり、ゆがみを抱えたまま、成長してしまうということもあります。そういったことを1つ1つ、積み上げていって、最後に、自分を自分として受け入れることができ、自身の出生以来と因縁をつけ、最後の戦いに挑むルークの姿を見ていると、感情移入以上の喜びというか、頼もしさを感じてしまうのでした。

 

 

多くの作品では、そういった過程を(修行シーンなどで)飛ばしてしまいがちです。それはそれでいいとは思います。テンポの良さが心地よい作品というのもありますから。

ただ、そういった過程が描かれるというのは、私の好きなリアリティを感じさせてくれるものです。現実でも、決めたことを決めたとおりに完遂することの難しさ、結果が伴うまで続ける難しさというのは筆舌に尽くしがたいものがあります。

そういったことを、丹念に描くということは、シナリオのテンポの悪さを伴うという難しさもありつつ、そこに挑戦してくれたシナリオには、感謝の念すら覚えるのでした。

 

複雑な人間関係

アビスは成り行きで集まったパーティーメンバーではあるものの、敵のボスキャラクターとそれぞれ何らかの因縁のあるメンバーが集まっています。

ラスボスと因縁のある人物たちが集まっていく、というのも悪くはないんですが、パーティーメンバーとボスキャラクター、全員がそれぞれ誰かと物語開始前の因縁を持っています。

 

かつては同じ夢を見た仲間や弟子と師匠という関係であっても、それぞれ敵味方に分かれて世界の命運をかけて戦う物語となっているのがアビスのシナリオです。

その結果、つらい思いをしないものは誰一人としておらず、誰かしら立ち止まりたくなるほどの悲しみを乗り越えていくのです。

 

作中で何度も刃を交えているうちに芽生える関係性というのも悪くはないのですが、かつては敵同士になるなどと微塵も思っておらず、同じ時間を過ごした者同士が刃を交えなければならない残酷さが描かれ続けます。

 

しかも、常に1対1の関係になっているわけでもなく、一人が複数の相手と因縁を持つということもごく当たり前のように起きています。そういった濃厚な関係性から紡がれる人間ドラマというのは、やはり即席の人間関係では得られない感情を与えてくれるものでした。

 

アビスから受けた影響

さて、長々とアビスの魅力を語ってきましたが、そんなアビスの魅力を浴びた私がどうなったかというと、まずいわゆるオタクとなりました。

もともとおとなしい方で、運動より本好きだったので、なるべくしてなったというところではありますが、それ以前はあまりマンガを読まず、ジャンプ作品についてもまったくもって疎い状態でした。ただ、家庭のルールで厳しく縛り付けられ、あまりマンガを読み漁るということもなく、私が本格的にマンガやゲーム・アニメに触れられるようになるのは、さらに高校入学以降の話でした。

 

その際には、ゴッドイーター、ヘルシングといった作品に触れ、その影響を多大に受け始めるのでしたが、アニメや漫画に触れた発端としてのアビスは絶対に欠かすことのできない存在だと思っています。

 

それ以上に、私にとって一大事だったのは、小説を書き始めたというところです。もともと、何か物語らしきものを頭の中で想像しているのは好きだったのですが、アビスを境に、一気に物語が複雑化しました。

アビスも、宗教を中心の影響の大きい2帝国の国交を巡るエピソードが絡められた政治的・歴史的な物語でもあり、そういった要素に出会った私の作品は、一気に複雑な設定が増えました。

その作品は、『ジャイオニア戦記』という名前で、中学時代、高校時代、大学時代と幾度もなく改稿を続け、設定を加えた物語です。

今なお、未完の物語であり、最近は様々な作品に浮気しては、書き続けられないということを繰り返していますが、改めてもう一度トライしてみたいと思える作品でもあります。

 

終わりに

賛否両論の問題作アビスでしたが、私にとってはとてつもなくツボで、影響の大きな作品でした。

結局、ゲーム本編のプレイは、大学時代に3DS版をプレイするときまでを待たねばなりませんが、それでも、私にとっては多大な影響を与えた作品です。

 

大空スバルのアビス実況完結記念ではありませんが、彼女がアビスのエンディングでアビスについて語っているのを見て、つい筆を執ってしまった次第です。

 

よく考えりゃ、彼女が実況しているときに、Twitterのトレンドにアビスの名前が出てたので、それに便乗して記事を書けばよかったと、下種の知恵をいまさら思いついたりしたのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【SCARLET NEXUS 第5話 カレンの反乱】感想

 

 

 

あらすじ

 

サイネットが断たれ、怪異が出現し、ユイト達は混乱の只中で刃を振るうことに。

セト隊のオペレーター・ワタルからユイトに向けたテレパシーで本部の情報が共有される。本部はサイネットの復旧を急いでいるものの、混乱が続いていた。ワタルはユイト達にとにかく怪異に対処することを指示する。

そして、ワタルはその最中、怪伐軍本部が包囲されていることに気付く。

 

包囲しているのは『セイラン方面軍』。ワタルはこれがクーデターであると断じる。

 

 

仲間たちにワタルからの情報を共有するユイト。そのまま戦場で刃を振るうが、一方で本部に居る兄と父のことを心配されもしていた。そして、ユイトはこの騒動を引き起こしたカレンのことに思いをはせる。

カレンは怪伐軍兵士の中でも最強の兵士であり、多くの人々の憧れの的だった。そして、訓練生時代からカレンに期待を寄せられていたと聞いて興奮する程度には、ユイトもカレンにあこがれていた。

そんなカレンがこんなことをしでかしたということへの疑問をぬぐいきれずに、山場を乗り切ったユイトと仲間たちのところに、連隊長・フブキが姿を現す。

 

混沌とした状況の中、ユイト達がどちらの勢力か尋ねるフブキだったが、ユイト達がカレン側ではないと知ると、ユイト達はフブキの指揮下に組み込まれる。

フブキとユイト達が行動を共にし始めると、カレンの弟・ルカがそこに合流する。

 

さらに、町中のディスプレイが映像を映し出す。そこに映し出されたのはカレンだった。カレンは演説をはじめ、サイネットには恩恵がある一方で、脳力を通じた接続によって反体制思想を持つ者を洗脳してきたと説く。

 

フブキはユイトに兄と父のいる本部へと赴くようにと指示を出す。しかし、現れた怪異が道をふさぐ。それでも仲間たちが足止めとなってくれて、ユイトの進路を守ってくれる。

 

ユイトはそのまま本部まで駆けだす。しかし、その内心では父親への想いに葛藤があった。ユイトが怪伐軍入りを決めた時、父親は反対した。スカウトもされず、適性の低いユイトは訓練生を経て怪伐軍に入る道があるにしても反対だった。そして、父に言わせれば、死んだユイトの母が怪伐軍入りを喜ぶのかと言う疑問がついて回るのだった。

それでも父の反対を押し切って怪伐軍に入隊したユイトに対して、反対と言う立場を見せつつも、一人前になったと祝辞を送ってくれたことも事実だった。

 

そんなユイトの父はその頃、避難路を走っていた。護衛の兵士はいるものの、次々と仲間が怪異に襲われて行く中、一人、走り続けていた。

そして、ひとしきり走った先で、突如目の前に怪異が出現する。もう終わりかと思った瞬間、怪異は一撃のもとに切って捨てられる。

 

なんとか父のもとに追いつきかけたユイトは数々の兵士が無残にも敗れ去り、命散らした様を見つめて歩みを進めていた。

ユイトがついに父のところにたどり着いたとき、そこには倒れた父とナイフを手にしたカサネが居た。

 

カサネが父を襲ったのか。そんな思いがユイトの頭をよぎった時、カサネらしき人物がナイフを手にユイトの方に走り出す。

 

状況が落ち着かない

 

地下通路での戦闘以来、ほとんど状況が落ち着かないままほぼノンストップで駆けてきていると言ってもいい状態です。

本当のことを言うと、地下通路戦闘の後、少しばかり皆が落胆しているシーンが入ったのですが、それでも落ち着いていません。

 

結局、何が問題なのかと言うと、登場人物が多すぎて、情報が整理しきれないのが問題かと思われます。もっと図や相関図みたいなものを駆使してくれればなぁ、と思わずにはいられません。

 

本作の原作であるゲームであれば、アーカイブなどから適宜情報を確認して進めていくこともできます。なので、ゲームのペースで話を進められると当然困惑します。

 

ただ、ゲームはもっといろいろなイベントを時間をかけてやっているのではないかと思います。これは後述する内容に関係するのですが、ユイトの超脳力のスペックが猛烈に上がっているのは、その辺の事情が絡んでいるのではないかと思っています。

 

とにかくメインシナリオを1クールの中で消化しようと必死な感じがしてしまいます。序盤から大いに盛り上がる展開と言えば、それはそれで良い事ではあると思います。ただただ緩慢な説明ばかり続いても飽きてしまっていたでしょう。

 

だからといって、激流のように押し寄せる情報の波にのまれてしまい、世界にどっぷり浸れないほどというのは考えものです。もっぱら考察や先の展開を予想するのが好きな方ですが、本作ではそこまで脳力が追いつきません。

1話の段階から登場人物が多いなぁと思い、第2話でも整理されないなぁと思い、そのままここまで来てしまっているので、情報が整理されないのは本作の宿命と思った方がいいのでしょう。

 

それはそれで悲しい事なのですが。

 

出力が猛烈に上がったユイト

 

今回の見どころと言っていいのは、ユイトの戦闘シーンでしょう。猛烈に出力が上がっています。1話の段階では物1つ動かすのがやっとで、小型怪異をカサネと協力して倒すのがやっとでした。

 

ところが、今は刀と念動力を駆使して小型怪異数体を一気に相手取って始末できるほどに成長しています。

ユイトの戦闘記録は

  • 初戦(カサネの援護を受けて小型怪異1体を始末)
  • 戦闘訓練(カサネと互角)
  • ゲンマの反乱(カサネの介護でほぼ戦闘せず)

と言うところからの今回の騒動です。

 

それ以前に訓練生としてそれなりに戦闘訓練を積んできているはずですが、今までの戦闘では全くと言っていいほど役に立てない兵士でしたが、突如として、この混乱の最中に覚醒しました。

 

銃で武装した怪伐軍兵士、盾装備の要人警護部隊が怪異に蹂躙される中、かなりの距離を怪異を始末しながら突破できたユイトはもはや現段階で怪伐軍でも屈指の戦闘力の持ち主に見えます。

当然、上述の怪伐軍兵士と超脳力部隊はそもそもの基礎能力からして違っている可能性はあります。もっというと、ああいう銃火器で武装した兵士は集団による制圧が主戦法になるので、こういった指揮系統が乱れた戦場では十分な力を発揮できないという擁護もできると思います。

 

それでも単独でかなりの距離を突破できたユイトの実力はとんでもない物です。仲間たちは「ここは任せろ」と見え切っていましたが、明らかにその後ユイトが相手した怪異の方が多い気がします。

 

流石に現時点でカレンやセトに追いつけるというと無理でしょう。けれど、これだけの出力を出せれば、彼女には失礼ですが、カサネぐらい圧倒できるんじゃないかと思います。

そのカサネが異空間での探索や謎の人物との邂逅で超脳力が超強化されていたら話は別ですが。

 

終わりに

 

相変らず情報は整理されないままではあるものの、話は突き進んでいきます。快刀乱麻の活躍を見せるユイトに襲い掛かるカサネ。正直、今のカサネじゃ相手にならんと言う気もしますが、いかんせん、メンタル面が弱いユイトは足元救われることになるかもしれません。

 

 

【東京リベンジャーズ 第17話 No way】感想

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あらすじ

 

場地から聞かされたのは、場地と一虎が引き起こしたとある事件。バイクの窃盗を試み、その時のはずみでマイキーの兄を殺してしまったのだった。その時、一虎はマイキーを殺さなくてはと言う妄念に取りつかれてしまう。

その後、場地は一虎に庇われて少年院に入ることはなかったが、一虎の出所を待ち、ヴァルハラへと加入したのだった。

この話を聞いた半間は満足そうに場地の『ヴァルハラ』加入を認め、特攻服を渡す。

そして、一週間後の10月31日を卍會との決戦の日と宣言するのだった。

 

武道は結局解放されたものの、場地を連れ戻さないと殺すとマイキーに脅されていたため、次にどういう手を打たなければならないのかという難題に苦悶していた。

 

翌日、気が重い武道は登校中にヤンキーに声をかけられる。しかし、そのあまりの怪我の様に関わり合いにならないことを決め、素通りしようとする。

しかし、そのヤンキーは昨日に場地に殴られていた壱番隊の副隊長・千冬だった。

 

千冬は場地にあれだけ殴りつけられてもなお、場地のことを信じていると言い、場地に何らかの意図があるのだろうと言う。さらに、参番隊の隊長任命式の時、もしも場地が武道のことを殴りつけなければ、もっとひどい目に合っていたのだろうと語った。

 

そして、武道は千冬を引き連れ、マイキーの兄の墓前でマイキーとドラケンに会いに行く。しかし、マイキーは場地を連れ返ることができていない武道に怒りの表情を向ける。

さらに、一虎と場地が見惚れて盗もうと画策したバイクはマイキーの兄がマイキーの為にカスタムしたバイクであり、誕生日プレゼントとして贈られるはずのものであり、今のマイキーの愛車となっているものだった。

そして、マイキーは何のために来たと武道を詰問する。

 

その時、武道は千冬との会話を思い出す。千冬は場地があくまで『ヴァルハラ』を、稀咲を倒すために『ヴァルハラ』に潜り込んだと確信していた。そして、場地は内部から、千冬は外部から『ヴァルハラ』を倒すために行動を続けると語る。決して場地とは言葉を交わしたわけではなくとも、千冬はそれが場地の役に立つことであると確信し、場地の役に立ちたいと思っているのだった。

その話を聞いたとき、武道は日向を救うため、自分が何をしたいと思ったのかを思い出す。

 

だから、マイキーに詰問された武道は堂々と卍會の頂点に立つと宣言する。驚いたような表情を見せるマイキーだったが、武道が去ったのち、ドラケンと共に武道のバカっぷりに微笑みさえ浮かべるのだった。

 

武道と千冬は帰路につく。その道中、千冬はあまりに唐突な武道の宣言を気に入って、互いに力を貸す関係を結ばないかと持ち掛ける。そして、それを受け入れた武道と、千冬は握手を交わし「相棒」と呼び合うのだった。

 

そして、手始めに千冬に連れられて武道が訪れたのは『メビウス』の総長だった男・長内だった。

長内は稀咲について語る。稀咲は地味な男だったが、喧嘩に明け暮れ孤立していた長内に数々のアドバイスを行い、長内をチームの総長にのし上げていた。さらに、長内を通じてパーちんを追いつめ、東京卍會とメビウスの抗争が避けられぬものへと仕立てた。

さらに稀咲はその抗争の中でドラケンを抹殺すると、空席となったNo.2の座にのし上がることを画策しており、パーちんの無罪を餌にして、マイキーにまで接触をはかっていたのだった。

長内は結局、稀咲の捨て駒にされたと自覚していた。そして、次なる駒として半間と『ヴァルハラ』を作り出したのだと語った。

 

総長不在の謎の組織『ヴァルハラ』の総長は稀咲かも知れない。その事実を確かめる為、武道は現在へと戻り、死刑を待つ身のドラケンと面会する。

 

ドラケンは逃げろと言ったはずだと言いつつ、武道の話に乗ってくれた。武道の問いに対してドラケンは「『ヴァルハラ』の総長はマイキーだ」と語る。そして、東京卍會が抗争を経て、『ヴァルハラ』に事実上乗っ取られてしまったこと、抗争において卍會は事実上敗北したことを告げた。

そして、ドラケンはマイキーこそが敗因になったとして、その時の出来事、一虎を殺害してしまったことを明かす。

 

フランクにタイムリープする武道

今回の見どころはなんといってもあっさりとタイムリープするようになった武道でしょう。(本当は千冬の登場回だということは分かっています

 

今まではタイムリープと言えば、何らかの節目を迎えて使っていたのに対して、今回、一時的な情報収集に使用しました。

直人に触れればタイムリープでき、回数制限も特にはない能力でしたが、直人に触れるのが結構不自然ではあるので、頻繁に使ってはきませんでした。

 

それが、前回「長いミッションになるぜ」と大見え切って過去に戻ったものの、情報収集に戻ってきて、直人はちょっと驚いたんじゃないのかと思います。

 

今後は、結構頻繁に戻ってきては現在から知識を密輸入していくことになるのかもしれません。

 

ただ、タイムリープによってドラケンや武道について境遇の変化は特にないというのは驚きました。タイムリープを実施すれば、何らかの形で過去に影響を与えるものだと思っていましたが、ある程度の変化を起こしきらないと、現在にその影響が波及するようにはならないようです。

 

前回ドラケンに会ったのは『メビウス』との抗争の直後でしたから、武道もそこまで大きな変化を起こすことはできていません。

とはいえ、千冬と手を組み、調査を開始したことで、ちょっとくらいの変化は起きてもいいような気はしています。現在のちょっとしたことで、未来なんていともたやすく良いようにも悪いようにも変わってしまうと思うので、まったく変化がないというのもかえって不自然に感じました。

 

しかし、一体、そこまでしておいて現在に何の変化も起こせないとは、武道は12年間一体何をして過ごしているのでしょうか。現在の人格が抜けた12年前の本当の武道はどんな人間なのか、ちょっと気になるほどです。

 

終わりに

 

「相棒」千冬を手に入れた武道。今までの悪友4人も役に立たなかったわけではありませんが、ここから先、「相棒」がどれだけ活躍してくれるのかが見ものです。

まさかの因縁に決着つかず【僕のヒーローアカデミア 第106話 許されざる者】感想

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あらすじ

 

とある男が轟家を見つめていた。その男はオールマイトに勝てない焦燥によって狂ったようになっていたかつてのエンデヴァーに捕らえられ、心酔した男だった。刑務所から出所後、すぐにエンデヴァーについて調べるほどエンデヴァーに執着していたその男は、今度こそエンデヴァーの手によって自らの生に終わりを下されることを望んでいるのだった。そして、男は注射器を首筋に撃った。

そんな時、夏雄が轟家の門から出てくる。

 

轟家での会食が済み、エンデヴァーの見送りと共に、緑谷、爆轟、轟の3人は車で帰ることにする。車に乗っていたところ、拘束された夏雄とすれ違う。男は白線を操る個性で車を襲い、その上で拘束する。

 

すかさずエンデヴァーが飛び出す。男は夏雄を殺し、それによって基本不殺のヒーローであるエンデヴァーの手によって殺められたいのだと語るのだった。

そこに、緑谷、爆轟、轟が車から飛び出してくる。

 

3人はエンデヴァーの教えを胸に、男の操る白線を撃破して突き進んでくる。エンデヴァー以外に手を下されたくない男は一旦退却の姿勢を見せる。エンデヴァーはその隙をついて一気に男との間合いを詰めようとする。

 

しかし、夏雄を盾にされ、エンデヴァーは追跡を止めてしまう。しかし、緑谷、爆轟、轟は追跡を止めなかった。

男はさらに個性で周囲の車を空中に浮かし、夏雄を電車の目の前につきだす。

 

緑谷は踵を返すと上空に浮かび上がり、エンデヴァーの教えを反芻しながら必死に自分に大丈夫といいきかせながら黒鞭を発動する。

一方、電車の前につりさげられた夏雄の救出には爆轟が向かった。爆轟も同じくエンデヴァーの教えを思い出しながら、個性を一点集中で制御して高速で夏雄を救出する。

 

そして、緑谷は黒鞭を正常にコントロールし、車をゆっくりと道路に戻すことに成功する。

爆轟は男を氷結で拘束し、事件は解決した。

 

爆轟が夏雄を道路に降ろすと、エンデヴァーが駆け寄ってきて、夏雄を抱きしめた。

 

爆轟が、エンデヴァーの言葉「俺より早く動いて見せろ」を引用して、自分たちの方が早かったと豪語し煽る。エンデヴァーはそのことをあっさりと認める。あまりにあっさりと認められてしまった爆轟はそれ以上の言葉を重ねることはなかった。

 

それでも、夏雄は納得できなかった。エンデヴァーは許されないだろうと分かっていても、ただ償いをさせてほしいというのだった。

 

その後、警察が到着し、男は逮捕された。3人に礼を言おうとする夏雄。特に自分を助けてくれた爆轟にはヒーロー名を尋ねるほどだった。にもかかわらず、爆轟はヒーロー名を決めていると言いつつ、名乗らないのであった。

 

その後、エンデヴァーは夏雄を連れて帰宅し、夏雄と冬美と妻の為に家を用意すると語った。

自分が家族のために何ができるのかを考えた時、エンデヴァーは自ら身を引くことを考えているのだった。

 

轟家の因縁には決着つかず

 

前話では緑谷が轟家の状況が変わる何らかのきっかけを与えてくれると思っていましたが、彼は小さな努力を肯定してあげるだけにとどまりました。

今話では敵役との対決を通して、何かが変わるのかもしれないと思っていましたが、結局何も変わりませんでした。

 

何かが起きて、その流れで絆を確認するというような流れは、ある意味よくある展開なのですが、今回でそうなるのかと思いました。

ただ、結局はそうならず、夏雄は父親を受け入れきれませんでした。

 

話としていつまでも進展がないと言えばその通りなのですが、家族全員を巻き込んで、長男を死なせ、妻を壊してしまった男の背負う罪の食材と言う意味では、簡単に割り切れてしまう方がおかしいとも思います。

 

最大の被害者ともいえる母親がエンデヴァーと和解していないことが言い訳になってしまい、気持ちに踏ん切りがつかない様になってしまっているというのも理解できます。逆に、当事者でもない夏雄がふんぎれていないから、母親もそれが言い訳になってしまっているということができないわけではありません。

ここは多くの人間が巻き込まれるほど膨らんでしまった悲劇の末路としては正常な話ではないかと思います。

 

焦凍はヒーローとして立派な父親というものを受け入れたことから、一定の距離は置きつつも、ある程度納得できている部分はあります。それも緑谷と本音をぶつけ合った結果であり、焦凍一人が生みだせた結果ではありません。

 

放置しておけばいよいよ根深くなってしまう問題ですが、ついに身を引くことを決意したかのように見えるエンデヴァー。そんなことすれば、エンデヴァー自身はさらに苦しむことになると思うのですが、それを轟家の面々は受け入れるのか。

 

 

爆轟キレッキレ

 

爆轟の「相手がだれであろうと気にしねぇ!」のスタンスがインターン編では如実に表れていました。

のっけからエンデヴァー相手に「出来ない事を知りたい」と豪語し、挙句、一般人である冬美相手でも関係なくわめき続けるスタンス。四川麻婆がおしかったと素直に言えばいいものを、わざわざ「湿っぽくされると四川麻婆の味が落ちる」だの「四川麻婆のレシピを教えやがれ」などメチャクチャ遠回しに表現するだのやりたい放題でした。

 

一方で、あまりにしおらしいエンデヴァー相手には追及を止めたり、ヒーロー名を一番に明かす相手を心に決めていたりと、純情っぽいとことも見せました。

 

エンデヴァー編はエンデヴァーの内面と教えが中心となり、学生トリオの内面については余り踏み込んできませんでした。

 

爆轟は根はやさしいところはあっても、振る舞いがひどいので、酷い性格に見えます。(というか酷い性格してます

その特徴が、今回如実に表れていました。

 

クラスメイトや教師相手に傲慢な態度なだけならまだしも、自分を歓待してくれようとしている年上の女性相手にもいつもの調子と言う徹底した振る舞いです。よく考えれば、TVの取材でも容赦なくキレ散らかしていました。あの時は轟の発言が意外と天然だったので割と気にしていなかったのですが、まさか相手を選ばずわめいてキレ散らかす奴だとは思っていませんでした。

 

傍観者として見てる分にはいいけど、こりゃ確かに嫌な奴だわ。

 

終わりに

 

まさか爆轟家の因縁に何の区切りもつかないとは思っていなかったので、こんなところで話が終わったことについては驚きが隠せませんでした。

 

次回以降エンデヴァーの登場は少なくなるようですが、今後、キッチリと決着がつく日は来るのでしょうか。

 

カリスマはなくとも、地道な積み上げを重んじ、人間らしい表情も見せるようになって魅力が増したエンデヴァーですが、多少報われて欲しいと思ってしまうのでした。

【僕のヒーローアカデミア 第105話 地獄の轟くん家】感想

 

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あらすじ

 

緑谷、爆轟、轟のエンデヴァー事務所でのインターンも一週間が経過した。

相変らず素早いエンデヴァーに追いつけずにいたが、それでも、少しずつ反応速度は高まっていた。

 

各々、エンデヴァーの言葉「1つ1つ積み上げていけ」を胸に、何とかエンデヴァーに追いつこうと必死だった。

 

エンデヴァーが事務所の自室に戻ると、娘の冬美から電話がかかってくる。轟とその友人を連れて家に来いと言う電話だった。電話が終わるとエンデヴァーは過去のことに思いを巡らすのだった。家族が楽しく歓談している何気ない風景。しかし、そこには自分はいない。

 

過去に焦凍にしてきた仕打ち、兄や姉と隔離し、過酷な訓練を課し、妻を追いつめて病むに至らせた。

 

引退したオールマイトと言葉を交わした時、自分の思うヒーロー像を追いかけろと言われた。その話を聞いていた時、おりしもエンデヴァーの眼には、子供たちに優しく微笑む轟の姿が見えていた。

 

翌日、例によって事務所の個室から出てきた緑谷たちは、今日も今日とてエンデヴァーに追いつこうと息巻くのだった。

エンデヴァーは素早く事件に対応しながらも、人を観察し、何かあればすぐ行動できるようにと教えを説く。

 

結局、その日も夕方まで粘ってエンデヴァーに追いつくことはできなかった。徐々に成長を感じてはいるものの、それでも3人ともへばっていた。

 

そんなエンデヴァーは冬美の誘い通り、3人を自宅に招待する。爆轟は抵抗したが、そのまま連れていかれ、不服そうな顔をしていたが、緑谷は出迎えの夏美にテンパりつつも自己紹介をするのだった。

 

夏美の手料理による豪華に彩られた食卓で食事が始まる。料理の話から、冬美や夏雄が交代で料理を作っていたことに話が及ぶ。しかし、夏雄が、焦凍にはエンデヴァーが手料理を食べさせなかったのではと言い放つと空気が凍る。

 

そのまま夏雄は中座してしまい、冷めた食卓となってしまう。

 

片付けの手伝いをしていた緑谷と爆轟の間で、初めて爆轟が轟の過程の事情を知っていたことが明かされる。曰く、轟と緑谷が体育祭の時にしゃべっていたことを聞いていたのだった。

 

一方、食卓に残った焦凍と冬美は、焦凍がやはり父親を許しきれない気持ちがあると告白していた。それでも一番の被害者である母親のことを慮ると、いつまでも許せないと思う気持ちがあること自体がいい気分ではないと語るのだった。

 

そんな話を立ち聞きしていた緑谷と爆轟だったが、爆轟がしびれを切らして乱入する。轟の話を聞いていた緑谷は、今はまだ父親を許す準備をしている時期なのだと、轟を諭すのだった。

 

その頃、エンデヴァーは一人、夕食を仏壇に供え、自らの息子の遺影に手を合わせるのだった。

 

踏み込み過ぎない緑谷

 

轟家を巡る話は激重で、歩み寄る気持ちはあっても、なかなかそれだけで円満解決とはならない難しい問題です。

 

今話のタイトルが『地獄の轟くん家』となっていることから、今回が(前回と打って変わって)この重い話に直面することになることぐらいすぐにわかりました。

 

一方で、今回の緑谷はあまりこの轟家の問題には踏み込みませんでした。むしろ、話が聞こえてると乱入した爆轟の方が踏み込んでいった感さえあります。

 

えてしてこういう重い話に主人公が絡む場合、無神経に踏み込んで、それが事態の好転を招くという展開も多いです。あえて「無神経」と書いたのは、作中の人物にとってはそれが転機になっていても、視聴者側から見ると、本当に無神経に踏み込んでいって、そんなんで絆を取り戻せるなんてありえないだろと思うくらい寒い展開になることもあるからです。

 

なので、緑谷がこの重い話にどう切り込んでいくのか、それによって事態をどう変えていくのかと言う点には期待していました。

緑谷がとった行動は極めて地味で、今の轟を肯定してやるということでした。体育祭の時には、思い切り轟を挑発して炎の力を使わせたりもしました。それに比べると、今回、緑谷がやったことは地味でした。

 

ただ、変に無神経にズカズカ踏み込んでいってしまうよりは、そのままの轟を肯定してやるぐらいの方がいいのかなとも思いました。

轟家を巡る問題は、誰かが猛烈に頑張ったからどうこうなるという問題でもないでしょう。エンデヴァーが頑張るのが一番手っ取り早いと言えばそうなのですが、それをやると、夏雄はかえって嫌気がさすでしょう。さらに、インターン先のいわば「師匠」でもあるエンデヴァーに緑谷から家庭内のことで説教噛ます方が不自然です。

 

人間、ただ共感してもらいたいだけみたいなところもありますから、今回はこのくらいでも良かったような気がします。

 

そして、次回も轟家編は続きます。こういう物語ですから、最終的にはドンパチやる中で何かを見出し、絆を取り戻していくというところになるのでしょう。

なので、変にことが荒立っていないうちにはこのくらいでもいいような気がしました。

 

終わりに

 

エンデヴァーの教えやエンデヴァー自身の回想が多くあり、ちょっと感想を書くところが短くなってしまいましたが、今回は次回に向けた前置きと言ったところなので、このくらいでも仕方ないかなと思います。

 

内容が薄いと言えばそうなのですが、あまりそう言った感じはせず、割と楽しんで見ることができました。

 

次回、轟家の因縁が少しでもほどけると良いですね

逆恨み【東京リベンジャーズ 第16話 Once upon a time】感想

 

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あらすじ

東京卍會創始者でありながら、東京卍會を見限り、敵対勢力『ヴァルハラ』の軍門に下った場地を、武道は非難する。しかし、場地は一虎も東京卍會の創始者の一人だと言って、昔話を始める。

 

それはマイキーやドラケン達が中学1年の夏。卍會を旗揚げして間もない頃。皆でバイクを駆って海へと出かけていた。しかし、ただ一人、マイキーだけ50ccの原チャに乗り、足を引っ張っていた。仲間たちも口をそろえて原チャはあり得ないと文句を言っていたが、マイキー本人にとってはこの原チャが愛車だった。

 

そこに地元のヤンキーがやってくる。マイキーたちに目をつけ、原チャをバカにし、破壊まで試みるヤンキーたちだったが、マイキーに睨みつけられると、次はぶち壊してやると捨て台詞を吐いて消えて行ってしまう。

 

更に道を行く卍會だったが、マイキーの原チャがガス欠になる。マイキーはごねてじゃんけんでガソリンスタンドまでこの原チャを押していく役を負う者を決めさせ、結局、貧乏くじを引いたのは場地だった。

 

海に興奮して泳ぎまくろうとするドラケンと三ツ谷。水着の女性の鑑賞にいそしむ一虎とパーちん。それぞれ思い思いに海を楽しむが、そこにマイキーの姿はなかった。

 

一方、マイキーの原チャを押し付けられた場地は必死になってガソリンスタンドを探していた。しかし、先ほど因縁をつけてきたヤンキー軍団に発見されてしまう。2度目はないと原チャを破壊しようとするヤンキー軍団に、場地は必死になって体を張って原チャを守ろうとする。

そこにさっそうとマイキーが登場し、自ら名前まで付けた愛車を蹴り飛ばす。そして、愛車よりも大切な仲間の為にとヤンキー軍団に喧嘩ふっかけるのだった。

 

後日。一虎に誘われた場地はマイキーの誕生日プレゼントについて相談を持ち掛けられるのだった。道中、一瞬、一虎は子供の誕生日を祝う家族を見て、寂しそうな表情を見せるが、すぐに相談に戻るのだった。

一虎が場地を連れてやって来たのはバイク屋。そこで、一虎は店頭に飾ってあったバイクの窃盗を持ちかけるのだった。さすがの行為に反対する場地だったが、一虎はそれでもマイキーの喜ぶ顔が見たいと場地に協力を乞うのだった。

 

結局、場地は一虎と共にバイク屋に侵入することに。なんだかんだ言いつつ着いてきてくれる場地に、一虎は感謝するのだった。

 

侵入してバイクをまじまじと見つめ、その立派なボディにほれぼれする二人。さらに固定用のチェーンも切って、石油が入っていることも確認し、あとはシャッターを開けて脱出するだけとなり、一虎が表に回る。

 

一人でバイクのところに居た場地のところに、奥から一人の男性が近づいて来る。しかも、その男はレンチを持ち、バイク泥棒の場地を凄む。あまりの状況にパニックを起こし、どうすればいいのか分からなくなった場地。

しかし、近づいて来た男は場地の名を呼び、場地もその男の名を呼ぶ。しかし、場地の危機に駆け付けた一虎は男の背後から思い切りチェーンカッターで殴り掛かる。必死に制止しようとした場地だったが、一歩遅く、男は思い切り殴りつけられて倒れる。

 

倒れた男に駆け寄り、場地はこの男がマイキーの兄であると語る。一虎は完全にパニックに陥ってしまい、場地は救急車を呼ぼうと電話を握るも番号が思い出せなくなっていた。

そこに、パトカーがやってきて、二人は逮捕されてしまう。

 

店から連れ出され、パトカーへと連れられる二人のところに、マイキーがやってくる。涙ながらに詫びる場地だったが、一虎は完全に気が動転してしまい、マイキーを殺さなくてはと言う妄念に取りつかれてしまうのだった。

 

逆恨みだけどなんとなく理解できる

 

今話では一虎がマイキーを恨むに至った経緯が語られました。ただ、それはあまりに一方的な逆恨みで、マイキーの方が被害者と言ってもいいくらいの出来事でした。

 

それでも、あまりの事態に気が動転した結果、マイキーにすべてを擦り付けたくなる一虎の気持にはなんとなく同情してしまうのでした。

 

窃盗と言う悪事ではあるものの、一虎にとってはマイキーを思っての行為、それが逆にマイキーを最も傷つける行為になってしまったというのは誰だって気が動転して、思考が滅茶苦茶になって、自己保身のためにぶっ飛んだ思考に至ってしまうという点についてはなんとなく同情できます。

 

ただ、数年間の少年院での生活で、その部分を悔い改められなかったのは少し驚きもあります。気持ちの整理がつかないまま、少年院での生活を送ってきたと思うと、それはそれでかわいそうだと思います。自分の中に矛盾を抱え、自分の罪を誤魔化してしまっているような気がするからです。

 

今回のことの発端は場地が卍會を脱退したことによるものですが、武道の努力によって、一虎の心も罪と向き合い、マイキーとの折り合いがつけられると良いなとつい思ってしまうのでした。

 

こんな話ヴァルハラの本拠地ですることか?

 

ただ、卍會の内部事情についてベラベラしゃべっていいのかとか、卍會の話をダラダラされてヴァルハラの連中は退屈じゃないのかとかいうことは思ってしまいました。

 

武道が場地を引き留めようとする発言をヴァルハラのメンバーの面前で公然と行ってしまったことで、ヴァルハラの反感を買うのではないかとも思いました。

武道が卍會に引き留めようと場地に話しかけた段階で、ボコボコにされてしまうのが今までの話で、それに比べると『ヴァルハラ』の連中は結構大人しくさえ見えるのでした。

むしろ、マイキーと一緒に居た武道をボコボコにすることで、卍會への良い見せしめになるような気もします。

 

彼らの言う「証人」である以上、ボコボコにして返すわけにもいかないというところはあるのでしょうけれど、その辺はやっぱり自分たちで言い出したルールは律儀に守る不良らしさなのかなとも思いました。

 

逆に、一虎はこんな話を公然とされてどう思っているのでしょう。普通に考えれば、(現段階では)マイキーへの恨みは完全に逆恨みで、一虎を擁護すべき理由が一切見当たりません。思考が破綻するほど追いつめられた一虎に同情はしますが、話だけ見ていれば、どう考えたってただの逆恨みで、一虎の方が悪いです。

 

『ヴァルハラ』としてはそう言う人物を入れるのは問題ないのでしょう。

 

一虎をマイキーを陥れるための駒として見るのであれば、感情的にマイキーを揺さぶる人物として最適です。なので、そういう使い方をするために居るのかもしれません。

 

それでも話として飽きない

 

この点はとりわけ個人差が出てくるかもしれませんが、なんだかんだ言って見ていて飽きません。

尺を稼いでいるようなシーンも若干あるのですが、それでも、見ていてイラっとしないし、面白いという感じがします。

話のロジックが若干すっ飛ばし気味で、マイキーが場地の居場所を素早く特定していたことなど、「おや?」と思うシーンはあるものの、それでもなんとなく面白さを感じてしまいました。

 

中々先が読めない展開に思わずドキドキしてしまったりもしますし、そう言う意味ではこの作品に完全に引き込まれてしまっている感じがします。

人によっては、先に挙げたような「なんでやねん」と言うツッコミポイントに引っかかって面白くなく感じるかもしれません。さらに、正直作画も若干怪しい箇所は何回かありました。

 

それでも、場地はマイキーに喧嘩を吹っか毛続けてきた腐れ縁だがマイキーの愛車に体を張れ、マイキーは友情の為に愛車を捨てられる良い奴だし、総長のくせして原チャに乗って挙句ガス欠になるマイキーは笑えました。

 

そう言ったポイントで緩急付けながら、それでいて先の読めない展開になっていることが色々と面白さを感じさせてくれるのかなと思いました。

 

終わりに

 

話の筋として若干の粗はあるものの、ついつい引き込まれてしまう『東京リベンジャーズ』の魅力が十分に発揮されている回に感じました。

正直言うと、武道がいない方が面白い話になるのかなとも思ってしまったほどです。

 

この後、一虎の罪を巡る過去の話がさらに明るみに出るのか、それとも一虎がただの逆恨み野郎として話が終わってしまうのか。

どちらになるか楽しみにしています。

【天官賜福 第1話 太子の嫁入り】感想

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あらすじ

 

シエ・リェン、通称・太子は天に戻る『飛翔』の折、天の建造物を破壊してしまう。この咎を弁償すべく、リー・ウェンの気遣いもあって、他の神官たちの沙汰にかけられるも、参加者のうちの一人の事情を良く知らぬ者によって、リー・ウェンの思い通りとはいかず、太子は改めて天を追放され、地上にて功徳を積むこととなった。

 

その第一歩として、とある山村で次々と花嫁を襲う『鬼花婿』の捕獲を命じられる。地上に降りた太子はその山村で茶屋に入る。茶屋で『鬼花婿』について尋ねるも、店主は災いを避けんと、答えてくれなかった。

太子が途方に暮れていると、光の蝶が飛んでくる。その光の蝶を差し向けたのはリー・ウェンだった。彼女は太子の助けにと、若い二人の神官を遣わしたという。

 

太子が席をみやると、二人の神官・ナンフォンとフーヤオが席に着いていた。二人は太子のことを良く知らないうえ、別の将軍に仕える若き神官であり、互いにどことなくいがみ合いはじめた。

 

またも途方に暮れていると、荒くれ者たちの担ぐ嫁入の輿が現れる。すると、一人の少女が腰に駆け寄って、輿の中の女性に説得を始める。彼女曰く、輿の中の女性は『鬼花婿』の供物として差し出されるのだという。返事をしない輿の中を不審がって少女が布を開けると、中から人形の首が出てきた。輿を担ぐ男たちは人形を使って『鬼花婿』を狩ろうとしていたのだった。

しかし、今度は少女はそんなことをするのは止めろと言う。荒くれ者たちを率いている少年が苛立ったように少女を突きとばすと、誰よりも早く太子が動き出す。

 

そして、即座に少年を吹き飛ばしてしまう。荒くれ者たちが剣を抜く。その時、ナンフォンが茶屋の柱に衝撃を加え、傍らの木を切り落としてしまう。この術に恐れをなした荒くれ者たちは一目散に退散する。

太子は裾が破れて足が見えている少女に布をかけてやろうと服を脱ぐが、それによって卑猥な人間と思われ、太子は叩かれてしまう。

さらに、先ほどの衝撃で茶屋の門が崩れてしまう。

 

そんなこんなで散々な目にあいつつも、茶屋に弁償しながら、太子は廟の場所を聞く。すると、太子が思っていたのとは違う廟の場所を教えられる。

本来、この地域を治める神の廟があるはずが、別の神の廟があるのだった。

 

しかし、廟自体は店主の言われたとおりの場所にあった。ナンフォンとフーヤオはまたも互いの将軍を貶し合いながら大喧嘩を始めるが、太子はそれを制止する。

そして、若き神官の法力を借りて、太子はリーウェンに通信を試みる。リーウェンからは100年以上前から『鬼花婿』が花嫁を襲い続けていることが伝えられ、太子からは管轄の異なるはずの神の廟があることが伝えられた。

 

そして、『鬼花婿』と出会うためにと太子を女装させるも、そのあまりに化粧の濃すぎる様に二人の神官は口をそろえて不細工だという始末。しかし、昨日助けた少女が食べ物を持ってきてくれ、その上、太子の化粧まで整えてくれたおかげで、何とかみられる程度にはなった。

その後、村で男たちを雇い、輿を出す。その背後を賞金狙いの荒くれ者たちが追いかける。

 

軽口をたたいていたのもつかの間、太子は笑い声が聞こえるようになり、更に歌も聞こえるようになった。警戒を強める神官たちだったが、狼の出現に戸惑う。しかし、戸惑いながらも二人は狼を切り伏せていく。

 

しかし、狼に引き続いて動く死人が現れると形勢が一転、さらに状況が悪化する。太子はこの状況に、自らの帯布を解いて、法力もなしにそれを飛ばし、屍たちを切り伏せる。

 

そして、太子は二人に村で雇った男たちの撤退させるようにいい、太子は自ら屍たちを処理し始めた。最初は口答えする二人だったが、それでも太子の命に従い、撤退する。

 

太子が屍を倒しきった頃、謎の男が現れる。そして、太子は謎の男の手を握ると、そのまま男の導くままに、連れ去られてしまう。

 

雰囲気は上々

何よりも本作を語る上で、雰囲気はとても良いという点は外せないでしょう。

 

 

カメラを回転させる演出などは現代日本アニメでは(コストの都合上)滅多に使われない印象があり、それを(オンライン配信とはいえ)週刊放送でやってくれるのは嬉しい物があります。

 

画面の塗もきれいで、グラデーションで表現される光の感じはとてもよく感じました。

 

 冒頭で太子の破壊を説明する際にはリズミカルにシーンが進み、演出面にとりわけ気が配られていることがよくわかりました。

 

以上のことから、かなり雰囲気が良い作品だと感じました。常にぬるぬる動き続けるというわけでもなく、口の動きについては若干残念さは残りましたが、それはそれ以外の要素が素晴らしく、期待水準が上がってしまった結果だと思っています。

 

それだけ、この作品の演出面には高い評価を送っていいと思っております。

 

30分だが情報量は少な目

 

オンライン配信を前提とした作品の為か、CMでカットされる分もなく、第1話は33分ありました。

 

それだけたっぷりあるのは良い事なのですが、情報量や情報の整理については十分に行き届いていた感じはしませんでした。日本人だと、中国系の名前を憶えづらいという理由もあって、若干、理解が遅れてしまう部分があります。

 

更に、神のシステムについてもあまり説明がありませんでした。なんとなく、修行と功徳を積み、天帝に認められることで、神に召し上げられるということは分かったのですが、もっと世界観を説明してくれてもいいような気がしました。

 

 演出面に力を割いた分、雰囲気や画面作りに注力し、情報の整理と言った部分までは手が回らなかったのかな、とは思いました。

 

それでも、まだ1話目ですし、今後徐々に説明されて行くことを期待して視聴してもいいのかなと思っています。

 

終わりに

 

画面の雰囲気の良さが何よりも良いアニメでした。所々に入れられるギャグシーンも心和ませる雰囲気があり、良かったです。

 

ちょっと雰囲気重視すぎて、説明や状況の描写がおざなりになっているようにも感じましたが、ひとまず情報は逐次追加されて行くものだと信じて視聴をしていこうと思います。

【SCARLET NEXUS 第4話 レッドストリングス】感想

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あらすじ

 

派遣先にてゲンマとカレン、更にその仲間の怪伐軍兵士に包囲されるユイト達。

 

ゲンマはセト隊長の悪事を糾弾し、攻撃をしかけてくるが、セトは無実を主張しながらもゲンマに応戦する。さらに、セトはゲンマの苦悩を慮るような言葉を告げ、ゲンマはその言葉に動揺する。

 

一方、カサネは頭痛で倒れており、ユイトはそんなカサネを案じていた。その背後からナギが攻撃を仕掛けてくる。戸惑うカサネだったが、ユイトは合流してからナギの様子がおかしかったと説明する。カサネがナオミが怪異になったということを主張しても、ナギはナオミが死んだと言い、攻撃を続ける。

 

ユイトはカサネを庇いつつ、念動力で何とか攻撃を防ぐ。ナギはさらに自身の能力を発揮し、大きな竜巻を起こす。

ゲンマと交戦中だったセトだったが、部下の危険を察知すると、ゲンマを吹き飛ばし、ナギとユイト達の間に割って入る。そして、強風を防ぎきると、ナギの更なる正体不明の一撃も防ぐ。しかし、ナギはユイトとカサネを狙って攻撃を繰り出していた。

その瞬間、自らの体を盾に、セトはナギの攻撃を受ける。

 

ナギの攻撃を受け、負傷しながらも、セトはナギに接近し、ナギを電撃で気絶させ、そのまま自らも倒れてしまう。

 

その様子を見ていたユイトとカサネの周囲に、赤い糸のようなものが渦を巻き始める。その直後、謎のゲートのようなものが出現し、その場にいた者を次々と吸い込み始めてしまう。

 

異常を感じたゲンマは、さらに淡々と事態を見つめていたカレンを問い詰めようと追いかけようとするが、カレンはそのまま消えてしまう。

更にゲンマは倒れたままのセトを救出しようとゲートの方に走り出す。セト隊・ツグミたちもセトを助けようとするゲンマを引っ張ったが、ゲンマの力が及ばず、セトはそのまま吸い込まれてしまう。失意に暮れるゲンマだったが、カレンの弟・ルカの力でその場から転移させられ、何とか無事で済む。

 

一方早くもゲートに吸い込まれていたユイトは傍らにいたカサネの手を握る。二人が柔らかに着地した先は、カサネが夢で何度も見た空間だった。

訳も分からぬ二人の傍らに流れ着いて来たガラスの破片のようなものに、何か映像が映る。ユイトが見ると、映像の人物の胸にはスメラギ家の家紋があり、おそらく『ヤクモ・スメラギ』ではないかとのこと。しかし、その映像にノイズがかかり始めると同時に、ヤクモの体が崩れ落ちるようなシーンが。

驚く二人だったが、二人はそのまま別方向に移動させられてしまう。

 

ユイトがカサネのことを案じながら目を覚ますと、そこは先ほどまでユイト達がいた戦場だった。ルカの力で引き戻されたのだと説明を受けるユイトだったが、先ほどの出来事に対して理解ができずにいた。

 

その頃、サイネット、すなわち、脳力を使用したインターネットのようなものの不通が確認され始める。

 

何とかスメラギ家のシェルターに駆け込んだユイトやゲンマ達。ゲンマはユイトから応急手当てを受ける。何かと体の弱かったユイトは自ら治療をしてきたとのこと。

それでも、ツグミはセトを死に至らしめた元凶であるゲンマを許せずにいた。

 

ゲンマは自分がなぜこんなことをしたのかと言うことを語る。それは、怪伐軍が人格改造を行っているのではないかと言う疑惑だった。怪伐軍歴が長いゲンマは、ニューヒムカに反抗的な隊員が人格を改造されたかのような場面に出会ってきており、更にカレンに、セトがその研究に協力しているのではと言うことを吹聴されたのだった。

 

その頃、街には怪異があふれ出し、その一方でサイネットが使えなくなったことで、怪伐軍の指揮系統は乱れ切っていた。

 

その様子をカレンは見つめているだけで、フブキは事の元凶であるカレンの意思を測りかねていた。

 

一方、カサネはキョウカの声で目を覚ます。目を覚ましたものの、状況が理解できずに戸惑っているカサネたち。

 

その先に、カサネが待つ者がいるとも知らずに。

 

作画と演出が危ない

 

段々と話のスケールが広がってきて、色々な謎も広がってきました。ストーリー的にはここから盛り上がってくることが予感されて、良い感じになってきました。

 

一方で戦闘シーンのモッサリ感、背景の人物の作画、頭抱えてるだけのカサネなど、なんだか難点が多いです。

 

戦闘のモッサリ感はやや厳し目に見過ぎているのかもしれませんが、戦闘中心の物語である以上、そこに期待が集中することは自明であり、そこをしっかりやってほしいと思います。

 

演出面で言うと、周りの人間が足を引っ張ってばかりと言う印象があります。

 

カサネはスカウト組のエリート隊員で、ユイトやナギにかなり高飛車な態度をとってきましたが、結局、夢のビジョンにうなされて、今回の騒動ではほぼ役立たずでした。

 

ナギも、良い奴であるというフォローがはいってはいるものの、前話はナオミの怪異化に心を折られ、今回は裏切ってしまい、足手まといや邪魔な立ち位置になってしまったような気がします。

この二人にいら立ちを感じてしまっている人も少なくないような気がします。

 

このあたりの各シーンの演出などが完全に力不足に感じ、イマイチ楽しみ切れないのも問題になっているような気がします。

 

 

惜しいセト隊長

 

今話では、セト隊長の聖人っぷりが発揮されました。

敵対したゲンマに同情したり、部下を守りつつ、暴走した部下も止めようとするなど、かなり株が上がったように感じます。

 

ただ、今まで何にもしてこなかった感じがしていて、それが響いて、イマイチ善人感が低くなってしまいました。

一応、善人なりにゲンマの言う通り人格改造やニューヒムカの暗部との接点を持っていたことが事実である可能性もあるので、ここでセト隊長を善人と決めてしまうのもうかつかも知れません。

 

それでも、今話の活躍とそれ以前の活躍を比べると、どうしても今まで何もしてこなかった感が響いて急に活躍されても今までの無能感を引きずってしまいます。

 

同じバンダイナムコの作品であり、怪物を討伐する部隊に主人公が所属する物語『ゴッドイーター』の隊長・リンドウはインパクトのある命令を出しており、フランクながらも頼りになる先輩感がありました。

 

一方、セトは今まで何もしておらず、2話での地下道での戦いでもあっさり分断されてそれきり出番をうしなってしまったため、有能感が薄いです。

 

前話で、別隊所属であるカサネに無理をするなと言った場面は少なからずいい人っぽいアピールにはなりましたが、戦闘面で役立ってこなかった側面が響いているような感じがします。

 

ここで一気に株を回復しようと思ったのかもしれませんが、どうにも無能感の方が先行してしまっていたので、共感しづらかったです。さらに、今話で負傷の後、ゲートに吸い込まれ消息不明となってしまいました。この先これを挽回するチャンスに恵まれるのでしょうか。

 

いい人なんだろうけど、それを発揮する場面に恵まれなかったちょっと不遇な人と言う感じがしました。

 

終わりに

 

物語としての盛り上がりは出てきているものの、一方で細部に関する粗が見えて、イマイチ物語としてのノリについていけない部分も強く出てきています。

 

おそらく、作画や演出に関しては今後改善される見込みはないので、せめてストーリーとしての盛り上がりが十分にあり、伏線や謎をキッチリ回収してくれることに期待を書けます。

【ぼくたちのリメイク 第2話 10年前に戻ってきて】感想

 

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あらすじ

志野のラーメンを勝手に食べたということで、貫之は志野の怒りを買う。どこかそのことを青春の一ページの事として楽しんでいる恭也だった。そこに奈々子が乱入して、貫之を咎める。しかし、奈々子は下着姿のまま飛び出してきており、それを見られた奈々子は恭也に一撃喰らわせて去ってしまうのだった。

 

そんな青春の日々をエンジョイしている恭也たちに下った課題は3分の映像作品の作成だった。テーマは時間。抽象的なテーマで、貫之も愚痴を漏らすも、どこか楽しそうだった。

 

そして、恭也はバイト先のコンビニで、奈々子と同じ仕事をする。偶然にも仕事は奈々子と同じだったのだ。そこで、恭也は奈々子になぜ美大に来たのかを尋ねる。

奈々子にとっては自分探しであり、自分の住んでいた町で人生が終わってしまうことの恐怖から、飛び出してきたのだと語った。恭也もそれに同意し、自分も似たような物だと語る。

そうしていると、恭也は密着した奈々子に手伝われ、少し役得感にひたっているのだった。

 

とりあえず、恭也はシェアハウスの仲間たちと課題の製作に取り組むことにしたものの、コンセプトが定まらない状態だった。それに対して、教官からは、最近会った嬉しかったことから着想を得てみるという提案を受けるも、奈々子のラッキースケベを思い出すばかりで、まるであてにならなかった。

 

恭也が帰宅すると、志野がリビングで居眠りしていた。彼女を起こすと、恭也は志野にも、なぜ美大に来たのかと尋ねる。

彼女は勉強も大してできず、おっとりしていたからと言うことを語り、その流れで、おっとりさゆえに電車を乗り過ごしていたことも度々あり、そのおかげで駅員と知り合いになったこともあったと語るのだった。

 

そんな話を聞いていて、恭也は自らも仕事に疲れたまま駅でボーっとしていたことを思い返す。

そうしているうちに、奈々子や志野、自分の思い出が駅で結びつき、今度の課題を駅をテーマにすることを思いつくのだった。

 

恭也はすぐに仲間に、変わらぬ駅と変わりゆく人の一生を対比させて時間の経過を表現する案を出す。その案に賛同する奈々子と志野。さらに貫之もすぐにプロットを書いてくれるのだった。

そのプロットを見てますます興奮する恭也だったが、貫之は恭也を呼び出す。

 

貫之は自分も同じ駅と人の一生を対比させる構想を持っていたと語る。そして、恭也はかつて同じ短編を読んだことがあり、それに影響を受けたのだと気づく。一瞬は恭也の真意を探るかのような態度を見せる貫之だったが、その件については不問としてくれた。むしろ、貫之としては自分と同じ目線の高さで創作に取り組んでくれる仲間を得られたことを嬉しく思っており、「良い物を作ろう」と約束するのだった。

 

それから各々の準備を進めていくのだったが、3分と言う時間的制約が厳しかった。恭也は台本を削るという選択を示すが、自身の台本に自信を持つ貫之はそれを不服とする。あくまで課題だからと言う恭也だったが、妥協なき完成品を目指す貫之にとっては、「良い物を作る」という約束を反故にされたように感じ、そのまま打ち合わせを立ち去ってしまうのだった。

 

貫之と別れた恭也、奈々子、志野の3人は校内で謎の罠にかかり、とあるサークルに強引に勧誘される。断ろうとする恭也とは異なり、志野も奈々子も乗り気だった。

 

駅で恭也が下見を行っていると、そこに河瀬川が現れる。彼女も同じ駅を題材に今回の課題の制作に取り組もうとしているのだった。そんな河瀬川は制作担当である恭也に矢継ぎ早に質問を仕掛け、マウントをとってくるのだった。

 

そんなこんなで落ち込みつつあった恭也は書類申請の際、教官からとある台本を渡される。教官はその台本の出来はすばらしいが、映画の出来は悪かったということを引き合いに、制作はすべてをまとめていいものを作る仕事だと語る。

その言葉に突き動かされた恭也は家まですっ飛んで帰り、貫之に詫び、改めていい物を作るための努力をすると宣言するのだった。その態度に貫之も突き動かされ、改めて約束を交わすのだった。

 

そんなこんなで撮影当日。良い天気の駅で撮影を開始しようとしたとき、志野がカメラが動画用ではなく、写真撮影用だということに気付く。手配した貫之が書類をよく見ると、記入欄にミスがあり、写真用の一眼レフを借りてしまっていた。

「仕方ない」と妥協しようとする皆の言葉に、恭也は同じく10年後の世界で妥協し続けた結果、なにもかもだめになってしまったことを思い出し、また同じ轍を踏むことだけはしたくないと思うのだった。

 

 

 

 

 

サービスシーンは要るのだろうか

 

このアニメは毎回サービスシーンが挟まってきます。ストーリーの流れだけで見れば、サービスシーンは不要です。さらに言えば、各人の個性を強めるような働きをしているかと言うと、それも微妙です。だから、ぶっちゃけサービスシーンなんて要らんと思ってしまいます。

 

ただ、それはあくまで「シナリオ全体に対する各シーンの働き」というものに注目しているからであって、別の視点でみると、キャラクターの魅力を高めたりする働きがあるのかもしれません。

 

ただ、今の私にはその意義を見出せませんでした。とりわけ、やけに突っかかってくる河瀬川の存在が、「誰もがフレンドリーなわけではない」ということを突きつけてきます。

これで、河瀬川もラッキースケベの餌食になれば「そう言う世界なのだ」という風に受け止めることもできるのですが、彼女の上から目線な態度が、そう言った認識を阻害してきます。

 

話の本筋で言えば、サービスシーンを抜いて河瀬川のつっけんどんな態度に重きをおくべきなのでしょうが、逆にサービスシーンを重視するのであれば、河瀬川のつっけんどんな態度が邪魔になってきます。

 

ただ、やっぱりなんだかんだ言っても、サービスシーンは不自然に挿入されているように感じますし、これはライトノベルでの経験をかなり積んでいないと対応しきれないのかなと思いました。

 

そもそも、私はラノベはあんまり読みませんでしたし、ラブコメと言うジャンルを忌避してきました。本作は別にラブコメではないものの、女性陣との関わり方はラブコメめいています。

 

なので、本作と私の対峙は、ありとあらゆるラノベやラブコメめいた描写を受け入れられるかと言うところにかかっていて、今の私にはまだそれを乗り越えられるに足る経験はないと言ったところです。

 

だからと言って30分に一回不自然なサービスシーンが入るような創作をしたいとはおもいませんが。

 

心象風景を覗ける主人公

志野と奈々子と恭也の三人が駅のベンチに並び、そこから着想を得て、駅で課題を撮ろうと思いついたシーンは良いシーンのように感じました。

 

ただ、落ち着いて考えると、そもそも奈々子は駅について一言も語っていません。町や琵琶湖については言及していますが、駅については一言も語っていません。なので、奈々子が駅のベンチに腰を下ろしていたのは、奈々子の頭の中だけの出来事で、恭也はそのことを知らないはずです。

 

にもかかわらず、恭也はそのことから着想を得て、3人をオーバーラップさせました。ということは、恭也は奈々子の思考でも読み取ったのでしょうか。いくら演出とはいえ、なんだかあり得ない演出になっていたような気がします。

 

さらに、結局、駅と人生というのは貫之のアイディアであり、恭也が読んだ短編集もプラチナ世代の一人としての貫之の作品だったのでしょう。なので、結果的に言えば、駅について考えたことは自分が読んだ作品を想起させるための前置きになってしまい、恭也のオリジナルのアイディアではなくなってしまいました。

 

タイムスリップしたアイディアの権利と言うのは難しい問題です。ただ、この作品ではその難しい問題に真正面から取り組むでもなく、友情でなんとなく流してしまいました。

一世を風靡した問題作『タイムパラドックスゴーストライター』なんてものもありましたが、難しい問題に真っ向から取り組む気が意と言う点では、明らかに『タイムパラドックスゴーストライター』の方が上のように感じました。

 

シーン転換がやたら多い

 

なんだかシーンの転換が多くて、それがひっかかってしまいました。しかも、シーンの転換が多いわりに、必要なシーンなのかもはっきりしないシーンも多くアリ、ちょっとひっかかりました。

 

特に、サークル勧誘のシーンは現状では価値が一切分かりませんでした。今後、何らかの形であのサークルの人々との関わりが重要になってくる機会もあるのかもしれませんが、現段階では不明です。(このシーンについては後々回収してくれると信じています

 

 

 

更に、気になったのは第1話の段階では、時間経過が結構丹念に描かれていました。タイムスリップする前の恭也の生活は月単位ではあるものの、何度か時期の描写がありました。大学生になってからも「2週間後」などの時間経過を示すカットが入ったりしました。

 

にもかかわらず、結局、2話からはそう言った時間経過が一切描写されなくなりました。シーン転換が多く、時間経過も早いため、それなりに時間経過をしっかり描写してくれたらうれしいなと思いました。

 

そもそも、そんな風に期待するのも、1話の段階で時間描写があったためで、2話以降なくすのなら、最初から入れない方がよかったんじゃないかとも思ってしまいました。

 

終わりに

 

正直、色々なところに粗があり、見ていても細かいところの粗が気になってあまり純粋に楽しめないというところではあるのですが、一方で、創作に対する知識や気概についてはなんとなく尊敬できるところもあり、それゆえに、視聴を続けていこうと思っている次第です。